勉強後に10分○○をすると語学の習得率が上がる!【50代からの脳トレ⑤】
近年は特に女性の間で人気の高い語学学習。英語はもちろん韓国語を学ぶ人も増えている一方で、なかなか身につかないと嘆く声も。「それは学び方が合っていないからです」と、1万人以上の脳のMRI画像を見てきた脳内科医の加藤俊徳さん。大人が限られた時間で「使える」語学を身につけるコツを教えていただいた。
初めて見る参考書が頭に残らないわけは
「わかりやすい」と評判の参考書を買って、いざ!と始めてみたものの、なかなか物にならなくて、つい勉強から遠ざかりぎみ…。そんな覚えがある人もいるのでは? 「語学が身につかない理由は簡単。教材が自分に合っていないからです」と加藤先生。 「『初心者におすすめ』『効率的に学べる』などのキャッチフレーズや、ほかの誰かがいいと言ったからといった理由で参考書やテキストを選ぶ人は多いでしょう。 確かにわかりやすくまとまっているものも多いと思いますが、そもそも脳は『初めての情報』というものを受けつけない性質があります。だから知らない文法や単語などを1からステップを踏んで学んでいくといったテキストに沿ったやり方だと、なかなか頭に入りにくいのです。 脳が初めての情報を受けつけづらいのは、受け取る情報の量が膨大すぎて、すべてを受け入れていたらあっという間に脳のデータ容量がいっぱいになってしまうから。脳は『これは必要そうだ』と判断したものしか残らないようにできているのです。 語学を学習するときの方法としては、テキストを読んだり音声を聞いたり、といった視覚系脳番地と聴覚系脳番地を使うことが多いでしょう。そのふたつは特に興味があるもの・こと、好きなもの・こと、過去に見聞きしたもの・ことを好んで取り込むという性質があります。 例えば、お店に入ってBGMが流れていることさえ気づかなかったのに、好きなアーティストの曲がかかるとすぐに『あ!』とわかる。また、雑踏の中にいてすれ違う人の顔を見ているつもりもないのに、知り合いに気づく。それは視覚系脳番地と聴覚系脳番地に選択性があるからで、好きなもの・ことや、過去に見聞きしたもの・ことに反応しているのです。 裏を返せば、脳は初めてのことや興味のないことは苦手。だから学生時代のように“知らない英単語を片っ端から丸暗記”、というようなやり方は、本来とても苦手な作業です。 さらに大人の脳は無意味記憶が苦手という若い頃とは決定的に異なる仕組みもあるため、暗記を軸にするような学習の仕方ではなかなか効果が出にくいのです」(加藤俊徳先生) ※無意味記憶と脳番地について詳しくは第1回<大人になると暗記できなくなるのはなぜ?>参照。