密輸手口も“巧妙化” 数ミリのかけらも見逃さない水際最前線 名古屋税関
日本の水際、税関検査場。違法なものを入り込ませないよう日々行われている検査で見つかるのは、怪しい品物の数々。緊迫の現場を取材した。
税関で目を光らせる検査官 水際の攻防戦!
中部国際空港の税関検査場。次々と飛行機が到着し、1日平均6000人が通るこの場所で、違法なものが持ち込まれないよう、名古屋税関の検査官が目を光らせている。 そこへ現れたのは、2つの大きなスーツケースを持った中国人男性。 検査官「このスーツケースは友達の?」 男性「友達の…持って名古屋」 検査官「友達はどこに?」 男性「中国、上海」 検査官「お父さんのかばんは? これとこれ? これだけ違う?」 男性「大丈夫、大丈夫、大丈夫!」 検査官「でも見せてください」
大丈夫を連呼するが本当に大丈夫なのだろうか? 検査官が中を調べようとすると、なんと鍵を持っておらず、ダイヤル式の鍵の番号も分からないという。これでは検査ができない。 持ち主に鍵の番号を確認しようとしたとき、検査官が開いていたもう一つの鍵の番号に合わせると、無事に鍵は開いた。「面倒くさいよ」「大丈夫、大丈夫、大丈夫」と言う男性をなだめながら検査官がスーツケースを調べると、中に入っていたのは、ラー油や豆、お茶など。怪しいものは発見されなかった。
男性が「友達のスーツケース」だという荷物を、検査官が念入りに調べたのにはワケが。今回は怪しいものは発見されなかったが、海外で預かってきた荷物に薬物が入っていたこともあったからだ。 去年、中部国際空港で、フランス国籍の男の荷物から末端価格約1億7600万円相当の覚醒剤が見つかった事件。発覚したのは税関検査場だった。フランスから到着した男の荷物を調べた検査官が、荷物の中身を取り出し、内張りをはがすと、中に覚醒剤が隠されていたのだ。男は「覚醒剤が入っていると知らず、キャリーケースは市場でアラブ人から買った」と話していた。 こうした事件を水際で防ぐため、検査官は不審に感じた荷物は隅々まで確認しているのだ。