密輸手口も“巧妙化” 数ミリのかけらも見逃さない水際最前線 名古屋税関
次にやって来たのは、先程とは別の中国人男性。リュックサックとスーツケースの他に、大きな箱を3つも持っている。なぜこんなに大荷物なのか。中身を確認することになったのだが、腕を組み、納得がいかない様子。
箱から見つかったのは、大量の薬だった。いったい何に使うのだろうか。 検査官「みんなの? あなたの?」 男性「これ、みんなの。俺のじゃなくて」 検査官「一人じゃなくてね」 男性「そうそう」 男性の仕事は船乗り。これから名古屋港へ向かい、船旅に出るのだという。大量の医薬品は、同じ飛行機で到着した仲間全員分のものだった。本来、医薬品は自分の分だけを持ち込むのがルール。次から一人ずつ持ち込むよう指導を受け、男性は空港を後にした。
チョコレートの包み紙やサンダルの底に… 年々巧妙になる密輸の手口
こちらは愛知県常滑市にある中部国際郵便局。世界中から中部6県に宛てられた郵便物を扱うこの場所には、多いときには1日で2000個ほどの郵便物が届く。名古屋税関の検査官は、送り主と宛先の情報やX線の画像などを確認し、検査が必要な荷物を見極めている。 届いた荷物の中には、作りが粗雑な偽物のブランド品も。偽物の疑いがある物品は、詳しい検査で偽物と分かると差し止められ、廃棄される。
気になる荷物は他にもあった。検査官が目を付けたのはベトナムから届いた郵便物だ。 検査官: 「セーフティグローブって品名なのに、中に入っているものが違うなって、X線でそういうふうに思ったので選びました」 中身はいったい何なのだろうか。箱を開けると、グローブで覆い隠されるように詰められた、謎の液体が現れた。見た目で分からないときはにおいを嗅いでみるが、検査官はなんともいえない微妙な表情…。
そこで、付着している微粒子を拭き取り、探知する機械で検査してみることに。結果は反応なし。ゴールキーパー用のグローブと一緒に入っていたので、おそらく革の保護材や汚れを落とすものだろうと、検査官は結論づけた。不審なものではないようだ。