友だちの輪に入れない息子…子育ての不安を抱えるママに捧げる”お月見”レモンスカッシュ
「日本は子どもを生み育てやすい国か」
令和5年1月「内閣官房こども家庭庁設立準備室」より公開された「子育て当事者の声、意識」の調査によると、「日本は子どもを生み育てやすい国とは思わない」と回答した割合が61.1%と多数を占めた。 【漫画を読む】マイペースで手のかからない息子。それでも心配なのは… フランス17.6%、ドイツ22.8%、スウェーデン2.1%に比べて圧倒的に多い数字だ。 親たちの負担の原因となっているのが、1位「子育てに出費がかさむ」55.6%、2位「自分の自由な時間が持てない」46.0%、3位「子育てによる精神的疲れが大きい」43.1%(複数回答あり)だった。 先月発売された『星のみえない夜は砂糖菓子につつまれて』(まつざきしおり 著 / オーバーラップ)は、疲れ切った心を癒してくれる漫画とフルカラーで紹介するお菓子レシピのエッセイ集。本書の第3話「空と月のレモンスカッシュ」にも、「子育てによる精神的疲れ」が見えるママさんが登場する。 マイペースな幼稚園児「ゆうくん」のママ、昼間みさき(31歳)である。 ゆうくんは幼稚園でみんなが騒いでいる脇で、ぼーっとひとりで過ごすことを楽しむ。 家でも一人遊びが上手で、ママが布団に入れれば、素直に寝付く。 大人しく、手がかからない「いい子」である。 幸せそうな寝顔を見ながら、けれどもママは心配でたまらない。 「もしいつか、周りの子に言われた言葉で傷ついたら」 「ひとりでさびしい思いをしたら……」 それは、みさき自身の過去の記憶だった。
かき氷シロップで作る「レモンスカッシュ」
晴れない気持ちを表すような、どんよりと曇った空の中、みさきの前に現れたのは、「喫茶星屑」の店主と大きな猫。そして「夜はまだ長い、きっと空もかわりゆく」とお菓子作りをしようと提案する。 差し出されたレシピには、さわやかで美しい「空と月のレモンスカッシュ」とあった。 レモン汁とシロップと水を混ぜ、製氷機で凍らせたシロップ氷を、かき氷シロップにレモンを加えて、炭酸水で割ったレモンスカッシュに浮かべる。 お月さまが空に浮かんだようなドリンクである。 ドリンクの中の月を眺めながら、店主は言う。 「満ち欠けで形が変わって見えることも、雲にかくれて見えないこともありますが、月はいつもまあるく、空と共にある」 夢から覚めたみさきは、マイペースなゆうの手を取り、お散歩に行く。 するとゆうは、空を指さして言うのである。 「まんまるのちゅきだよ」