山里に移住した小川糸さんの「キッチン収納」。引き出しの中は“ざっくり片づけ”でOK
作家・小川糸さん(現在50代)が、山小屋へと暮らしの拠点を移したのは2022年の夏。家事はよりシンプルに、食事は自然と野菜中心へシフトしているそう。そんな穏やかな日々に寄り添うキッチンで、毎日心地よく家事をするための工夫について教えてもらいました。 【写真】小川糸さんの食器棚
「きっちり」と「ゆるやか」が共存する、心地よい台所
大きな窓から見える、森の木々。2022年に長野県の八ヶ岳山麓に山小屋を建てた際、小川糸さんがキッチンに関してリクエストしたことのひとつが、この窓でした。 「調理しながらでも、森を見たいと思ったんです。もうひとつお願いしたのは、東京で住んでいた家の台所と同じようにしてほしいということでした」(小川糸さん、以下同) 清潔を保てるステンレスのカウンタートップ、大きめのシンク、取っ手がない引き出しなど、使いやすかった台所の特徴をそのまま採用。冷蔵庫のための小部屋をつくり、扉を閉めて気になる音を遮断できるようにしたのも同じです。収納に関しても、これまでと変わらぬスタイルにしました。 「見せる収納というよりも、よく使うもの以外はきちんと片づけたい。でも引き出しの中はあまり細かく仕切らず、ざっくり収納。そんなふうに“きっちり”と“ゆるやか”が共存しているのが私にとっての使いやすい台所です」
日々、実際に使いながら置き場所や収納法を考える
「いまも使いながら『こっちの方が便利かも』と置き場所や収納用の道具を替えることも。なにがどこにぴったり収まるかを考えるのは、わりと得意な方だと思います」 コンパクトな台所が気持ちよく整っているもうひとつの理由は、調理道具や器の数がかなり絞られているから。山小屋に引っ越してきた際に、かなり減らしました。 「器は重ねてもかさばらないものを選んで持ってきました。軽くてどんな料理にも合う漆器が多いですね。鍋や道具も、必要最低限のものだけに。つくる料理が前よりシンプルになったので、たくさんは必要ないんです」 東京で重宝していた食洗機や生ゴミディスポーザーも、山の生活では壊れてもすぐに修理に出せない。そう考えて、今回は潔くなくすことにしたといいます。以前よりさらにすっきりした台所でつくるのは、具だくさんのスープや煮込み料理、焼き菓子などの素朴なメニュー。地元で手に入る新鮮な野菜や果物など、自然の恵みを楽しんでいる小川さんです。
ESSEonline編集部