不倫夫役だった岡田将生は「聞き上手なタイプ」、結婚観に変化も…33歳になった高畑充希の“転機”「良くも悪くも現実的に…」
『奇跡の人』でヘレンになりきるうちに…
高畑に言わせると自分は憑依型の俳優でも何でもないと思っているのだが、ヘレンの役は特別で、目が見えず耳も聞こえない彼女と同化するかのように《ずっと稽古しているといつの間にか目で見たり耳で聞いたり、をやめてしまっていて、柱に真正面から激突して鼻血を出したこともあった》という(『穴があったら入ります』)。同役は2014年にも再び演じた。 さらに5年後の2019年には、今度はサリバン先生を演じることになる。それまで先生を演じてきた先輩たちがこの役のハードさを口々に言うのを何気なく聞いていた高畑だが、自分が演じてみてようやくそれに同意できたという。あまりに気持ちも身体も大変なので、このとき全公演を終えると「もう出来ない! 1回きりでやめてやるんだからっ!!」と強く思ったにもかかわらず、2022年に再演のオファーを受けたときには、《なぜか首を縦に振っていた》という(『穴があったら入ります』)。それくらい彼女にとって『奇跡の人』は魔力を持った作品であるようだ。 榊原郁恵が絶賛したように、高畑の歌唱力には定評がある。初舞台のお披露目会見に来ていたレコード会社の社長からはいち早くCDリリースの話を持ちかけられ、コブクロの小渕健太郎のプロデュースにより、みつき名義でシングル「大切なもの」(2007年)で歌手デビューしている。
歌の上手さが注目されはじめる
ただ、彼女の歌の上手さに多くの人が気づいたのはもう少しあと、2013年度後期のNHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』で杏演じるヒロインの義妹・希子を演じたときだろう。当初は無口で引っ込み思案だった希子だが、あるとき歌が上手いことがわかったことから思いがけない役割を与えられ、徐々に心を開いていく。劇中で歌った「焼氷有りマスの唄」(マスの正しい表記は、右上がりの斜線の入った四角)は評判を呼んだ。 その少し前から、高畑はもっと有名になって自分の舞台にお客さんを呼びたいとの思いから映像の仕事にも力を入れるようになっていた。当時の出演作には、のちに頭角を現す同世代の俳優たちがひしめき合っていた。