「認知症のリスク」は経済的な豊かさで変わる? 海外の研究で明らかになったこととは?【認知症リスクを下げるためにできること】
米国だけで670万人が抱えている認知症。(※厚生労働省によると、日本では2025年に認知症の高齢者は471万6千になると推計されている) この深刻な疾患の発症リスクは年と共に高くなる。それに加えて認知症は、原因がいまだに解明されていないから余計怖い。 【写真】実は体によくない!?「栄養士が避ける40の意外な食品」 でも、このたび発表された研究結果によると、仕事・教育・経済的な豊かさは認知症のリスクに影響を及ぼす可能性があるという。 ※この記事はアメリカ版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。
今回の研究で判明したこと
11月、科学情報誌『Scientific Reports』に掲載された今回の研究結果は、英国に住む50歳以上の成人8442名のデータを10年にわたり分析したもの。このデータには、参加者の精神状態、かかりつけ医からの情報、認知テストの結果、社会経済的要因が含まれていた。 分析の結果、研究チームは、社会経済的に恵まれたバックグラウンドを持つ人(特に大学に通っていた人、管理職や専門職に就いていた人、社会経済的に最も豊かな人口の3分の1に属する人)は、健康な認知状態から軽度の認知障害に移行したり、軽度の認知障害から認知症に移行したりする可能性が低いことを発見した。これは、高等教育を受けておらず、肉体労働や定型的な仕事に従事し、社会経済的に最も恵まれない人口の3分の1に属する人と比較したもの。 より細かく見てみると、高等教育を受けた人は、健康な認知状態から軽度の認知障害に移行する可能性が43%低かった。また、社会経済的に最も豊かな人口の3分の1に属する人は、軽度の認知障害から認知症に移行する可能性が26%低かった。 ハッキリしたことは言えない。前述の通り、認知症は複雑な疾患で、これは数ある研究の1つに過ぎないけれど、教育レベルの低さと認知症発症リスクの高さの間に関係性があることは、他の研究でも分かっている。 研究チームによると、今回の研究結果は「脳の健康と認知レジリエンスを促進する上で、経済的な安定とリソースへのアクセスが保護的な役割を果たす可能性があることを浮き彫りに」しており、「あらゆる所得水準において精神的・認知的なウェルビーイングをサポートする社会政策の重要性」を強調している。
認知症のリスクを下げるには?
・脳を活発に保つ ・身体的にも社会的にもアクティブな生活を送る ・タバコを吸わない ・十分なビタミンDを摂取する ・心血管疾患の危険因子を管理する ・基礎疾患の治療を受ける ・健康的な食生活を送る ・質の高い睡眠をとる ・聴覚障害の治療を受ける ・定期的に眼科検診を受け、視力障害の治療を受ける