20代で夫が難病に。育児に介護に労働と、がむしゃらな12年を経て夫が他界。50代で訪れた身体の不調を機に、生活習慣の改善に挑戦
◆「若作り」より効果的だったもの 私は介護職なので、80代や90代の利用者さんとのお付き合いが多い。するとみなさん口を揃えて、「若くていいわね」と言う。 しかしいくら若いと言っても、正真正銘の若者である20代、30代と一緒に働いていると、「敵うわけがない」と感じることばかりだ。疲れやすいし、明らかな不調も出てきた。3年前には原因不明の頭痛に悩まされて、内科・耳鼻科・脳外科とたらい回しにされた。 ほかにもこまごました不具合でメンテナンスが必要になり、整形外科・婦人科・皮膚科・眼科・消化器内科へ。どこの医者にも要経過観察と言われてへこんだものだ。 きわめつきは、もともと不調気味だった胃にポリープが見つかり、手術が必要になったこと。内視鏡手術で済むので難しいものではなかったし、入院も1週間程度だったが、手術の前夜から翌日の昼までは絶食。そのうえ、術後の食事は重湯からである。 回復食とはいえ、とてもじゃないがお腹が満たされない。59歳にして意図せぬファスティングダイエットをする羽目になり、かなり体重が減ってしまった。 その後しばらくして職場に復帰したが、抵抗力が落ちていたのかコロナに感染。そのせいで体重も増えず、体調は思うように回復しない。
痩せた直後は、それまで入らなかったサイズの服が着られることを嬉しく思ったりもしたがそれも束の間、見た目より健康が欲しいと切実に願った。だましだまし働いていたものの体がつらく、60歳になったのを機に仕事を辞めることにした。 退職した年の夏、さらなる不運が私を襲う。体調が回復してきたので、ずっと行きたかった旅行に友達と出かけたのだが、そこでまたしてもコロナに感染してしまったのだ。コロナの症状がよくなった後、胃の不調が悪化。つくづく、《60の壁》は高いと実感した。 秋になって涼しくなると、胃の不調もおさまってきた。年に一回受ける胃の定期検診で「異常なし」と言われたときは、一気に肩の力が抜けたものだ。今も薬は手放せないけれど、食欲と体力を取り戻すことができた。 それからは、健康を維持するための生活を徹底。入院食の薄味を思い出しながら減塩メニューに挑戦したり、インスタグラムで見つけた薬膳系のレシピを参考に、胃にやさしい食事を勉強したりしている。 健康だとやる気も漲る。スポーツジム通いを再開し、ずっと憧れていたカフェ巡りや断捨離も始めた。最近は実年齢を告げると、「その年齢には見えない」と言われる。エステ通いを頑張っていたときよりも、無理をしないと開き直ったとたんに若く見られるのは皮肉なもの。 「若い」というのは、「元気で健康的」ということであって、決して「若作り」によって手に入れられるものではなかったのだ。
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