なぜ未勝利低迷のヴィッセル神戸はSNS上での誹謗中傷に「法的手段も」と異例の注意喚起を行ったのか?
敵地で名古屋グランパスに0-2で屈した2月19日の開幕戦を皮切りに、リーグ戦の6試合を終えた神戸は3分け3敗とひとつも白星を手にしていない。 昨シーズンのJ1リーグでクラブ史上最高の3位に躍進。開幕前には優勝候補に推す声もあった今シーズンだったが、開幕から1分け4敗と5戦連続未勝利を喫した1999シーズンのクラブワースト記録を、実に23年ぶりに更新してしまった。 4月15日から5月1日までタイで集中開催される、ACLのグループリーグを戦う前提で、神戸は当該期間に組まれていたJ1リーグ戦を前倒しで消化している。 必然的に過密日程となる状況を考慮して、今シーズンから契約を新たに2年間延長した37歳のキャプテン、MFアンドレス・イニエスタの起用に関して、三浦淳寛監督(47)は慎重を期してきた。コンディション不良で名古屋との開幕戦を欠場した元スペイン代表の司令塔は、その後の5試合で2度の先発にとどまっている。 昨夏に加入したフォワードトリオ、日本代表の大迫勇也(31)、元代表の武藤嘉紀(29)、元スペイン代表のボージャン・クルキッチ(31)がそろい踏みを果たしたのも、6試合を終えて2度、合計プレー時間は91分と1試合分にとどまっている。 開幕から無得点が続いた大迫は、4戦目の横浜F・マリノス戦で先発落ち。武藤が負傷退場した前半17分から急きょ出場するも、またもやゴールを決められなかった。 左ひざのじん帯を損傷した武藤は全治まで最大10週間の長期離脱となり、大迫もマリノス戦で右脚に裂傷を負って離脱。ボージャンを含めて、直近の2試合でベンチ入りメンバーから姿を消した。神戸の総得点は6試合で「3」にとどまっている。 ベルギー代表にも名を連ねたベテラン、36歳のトーマス・フェルマーレンが昨オフに退団し、その後に引退した最終ラインも安定性を欠く。無失点に抑えたのは1度だけで、消化試合数が多いにせよ、現状で「9」に達した総失点はリーグワーストだ。 攻守のバランスの悪さに故障離脱者の連鎖が追い打ちをかけ、陥ってしまった泥沼から抜け出せない状況が続いている。大きく膨らんでいた期待感への反動として、十分な補強をしたとは言えないクラブ、3シーズン目の指揮を執る三浦監督らへ向けられた批判が、一部のファン・サポーターのなかで境界線を越えてしまった。 ネット空間を沈静化させる特効薬は、言うまでもなく勝利となる。 ホームのノエビアスタジアム神戸で鹿島アントラーズに0-2で完敗した、11日の明治安田生命J1リーグ第4節後に、イニエスタは自身のインスタグラム(@andresiniesta8)を更新。日本語を併記した上でこう投稿している。 「あきらめるんじゃない。火曜日にはこの状況を変える唯一のチャンスがあります」 キャプテンが決意を込めて言及した「火曜日のチャンス」とは、15日にホームで行われるメルボルン・ビクトリーとのACLプレーオフを指している。 今シーズンのACLには、昨シーズンのリーグ戦王者・川崎フロンターレと同2位のマリノス、そして天皇杯覇者・浦和レッズの3チームが本戦から出場。リーグ戦3位の神戸は一発勝負で争われる、ACLプレーオフでの勝利をへて本戦を目指す。