パリオリンピックで注目すべき建築10選。
〈選手村〉
住所: D1, 93200 Saint-Denis
4:十字型に交差した建築の〈シャン・ド・マルス・アリーナ(Arena Champ-de-Mars)〉
ジャン=ミッシェル・ヴィルモットの設計で新築された〈グラン・パレ・エフェメール(仮設のグラン・パレ)〉は、オリンピック期間中〈シャン・ド・マルス・アリーナ〉へと名称が変わる。 〈エッフェル塔〉と〈エコール・ミリテール(軍事訓練機関)〉という、2つの大規模施設を結ぶ〈シャン・ド・マルス公園〉の中に造られ、もともとは〈グラン・パレ〉の修復期間中に代わりに使うために、〈グラン・パレ〉の構造を模した姿で建設された。 本家〈グラン・パレ〉は、1900年のパリ万博のために建てられ、数々のカルチャーやスポーツのイベント会場として活用されている大型施設。オリンピック開催時には、〈グラン・パレ〉の修復も終わっており、仮設のこちらとの両方を競技場として使うことが決められた。〈エッフェル塔〉から真っ直ぐのびた線上に、十字型に交差するアーチ構造が形作る、すっきりかつ広々とした空間は10,000平方メートル。 五輪後には、解体・撤去される予定なのだが、実はここに来て(2024年6月現在)、運営会社から、延長の申し立てが出されている。かつて万博のために短期間の予定で建設された〈エッフェル塔〉や〈グラン・パレ〉が、現代に残るランドマークとなっているように、もしかしたら、エフェメール(仮)のはずの第二の〈グラン・パレ〉も、その印象的な姿をこの地にとどめることになるのかもしれない。
〈シャン・ド・マルス・アリーナ〉
オリンピック競技種目:柔道、レスリング パラリンピック競技種目:視覚障がい者柔道、車いすラグビー 住所: 2 Place Joffre, 75007 Paris
5:うろこのような外観が目を引く〈パリ・ラ・デファンス・アリーナ(Paris La Défense Arena)〉
〈ルーヴル宮殿〉から〈コンコルド広場〉、〈シャンゼリゼ通り〉、〈凱旋門〉を結ぶ直線の延長線上にあるのが、パリの西の副都心、ラ・デファンス地区。1960年代から開発が行われ、パリらしからぬ高層ビルが林立している。その地区の一角に、2017年に完成したのが、クリスチャン・ド・ポルザンパルクが建築を手がけた、〈パリ・ラ・デファンス・アリーナ〉だ。 オープン時は〈Uアリーナ〉という名で、ローリングストーンズの世界ツアーで柿落としされて以来、モジュール式の多目的構造を活かして、大型コンサートから、このスタジアムを本拠地とするラグビーチーム「レーシング92」の試合、コンベンションなどで、既に200万人以上の観客を迎え入れてきた。 ポルザンパルクらしい、立体としての存在感あるボリュームと、流れるようなシルエットが印象的なアリーナは、オリンピックでは、初めて水泳に使われる。50mプール3つをオリンピックのために設置するが、すべての資材を再利用するという今大会の方針に則り、大会後は、パリ大都市圏の3つの町に運ばれて常設のプールとして活用されるという。