パリオリンピックで注目すべき建築10選。
2:パリ唯一の新築スタジアム〈ポルト・ド・ラ・シャペル・アリーナ(Arena Porte de La Chapelle)〉
パリ市内で唯一、五輪のために新築されたスタジアムは、今年2月に完成した。 設計は、イベント会場、学校、オフィス、住宅などを手がけている〈SCAUアーキテクツ〉と〈NP2F〉の、二つのフランスの建築事務所。環境に配慮することを徹底的に試みた結果、明るいシルバーのファサードにはリサイクル素材のアルミを採用し、屋根の80%は植物で覆った。断熱材にはリサイクルコットンを用い、スタジアムのシートは、廃プラスチックのリサイクル素材を活用している。 オリンピック期間以外は、〈アディダス・アリーナ〉の名で運営され、パリのプロバスケットボールチームのホームスタジアムとなる。また、パリには足りなかった、中規模のコンサートやスポーツイベントのための、8,000人が収容できるモジュール式の多目的ホールとして既に数々のスケジュールが決まっている。
〈ポルト・ド・ラ・シャペル・アリーナ〉
オリンピック競技種目:バドミントン、新体操 パラリンピック競技種目:パラバドミントン、パラパワーリフティング 住所:56 bd Ney 75018 Paris
3:元映画撮影スタジオが食堂に〈選手村(Le Village olympique)〉
オリンピック史上初めて選手村が作られたのは、ちょうど100年前、1924年のパリオリンピックでのことだったそう。パリ2024では、閉会式の行われる〈フランス・スタジアム〉や〈アクアティクス・センター〉もある、サン・ドニ市近辺に選手村が作られ、オリンピックでは15,000人、パラリンピックでは8,000人が滞在する。 〈フランス国立図書館〉などで知られる建築家・都市計画家のドミニク・ペローが最初の監修を担当。80%の競技が、選手村から10km以内で行われるという立地で選手たちの移動によるカーボンフットプリントを減らし、住宅とオフィスとして持続的に活用される大会後の未来を見据えて、30万平方メートルのエコシティを構想した。 選手村の中心に位置する、これまで映画撮影スタジオだった〈シテ・デュ・シネマ〉は24時間営業のレストランへと姿を変え、大会中に毎日60,000食の食事が供される。このように、新築しないで使えるものは最大限残して有効に活用している。選手が滞在する宿泊棟は、オリンピック後には、2025年までに、6,000人の暮らす住宅と6,000人の働くオフィスとして改装され、セーヌ川に面した新しい街として継承されていく。