SNSに集う「サレ妻」たち、夫の不倫相手に慰謝料請求しても心の傷は癒やされず…「サレ損シタ得」が生み出す現代社会の病巣
●シタ女との直撃音声をXで公開 30代サレ妻の呼びかけ「私、間違ってないよね?」
「不倫相手を公開したい気持ちは理解できる」 30代のサレ妻、Bさんも同意する。 Bさんと子どもを残して家出した夫は、仕事のクライアントの妻と不倫していたという。 Bさんは相手の居場所を突き止め、謝罪の気持ちを尋ねたところ「謝罪をしたら何か変わるんですか?」と反省の色が見えなかったことから、すぐさま慰謝料請求の裁判を起こした。
それまで「主婦の愚痴」を吐いていたXのアカウントを「サレ妻疑惑アカウント」「サレ妻アカウント」に切り替え、女性とのやりとりの加工音声をX上に公開している。 多くの人に「私は間違ってないよね。この女が間違っているよね」と確認したいのだと話す。 「不倫は悪なのに罪に問えないし、慰謝料の支払いが命じられたからって、払われる保証もないし、強制執行の手続きをとるにもお金がかかる。夫から婚姻費用も支払われず、私は借金しながら子どもと暮らしている」
●不倫した人の名誉とは? 逮捕された女性は「勇者です」
SNSで情報を発信できないなら、誰か公開された裁判を傍聴してほしいと考えることもある。 特定の相手の不倫を指摘することは、相手の社会的評価を低下させたとみなされる。「不倫した人の名誉なんてない。社会的に死んでほしい」と怨嗟を口にしつつも、弁護士から止められている。 AさんやBさんのように、情報を得たサレ妻の多くは、晒し行為が罪に問われるリスクを重々承知している。 だから、今年5月の事件で話題になった女性アカウントについて、「彼女は勇者」であると評し、多くのサレ妻の思いを代弁してくれたと受け止めている。 Bさんは「サレ損シタ得なんです。不倫されて、初めてその実態がわかった」と話す。 圧倒的不利な立場だという考えのもと、ほかのサレ妻からDMなどでアドバイスを求められると、誠心誠意を込めて返信している。
「不倫相手に求められる慰謝料の相場が安すぎる。判決で相場が作られてきたなら、どこかで改善してほしい。お金で癒されることはないとわかっていても、サレ妻はお金で解決するしかない」(Bさん)