ゲームを楽しみながら社会課題の解決、カギは「ヒーロー欲求」 元テレ東社員が起業
――そもそもテレビ局に入ったきっかけは何だったのですか。 僕は東京大学法学部に進学したのですが、最初は周囲の学生に流されるように資格試験の専門学校に入り、弁護士を目指して司法試験の勉強しようとしたんです。なので身が入るわけもなく。1単位だけ残して自主留年し、司法試験を目指そうとしました。気分転換のつもりでテレビ局の就職試験を受けたところ、テレ東に拾ってもらったという次第です。 テレビ局の採用に応募する中で、自分が本当にやりたいことはエンタメじゃないかと思うようになったんです。振り返ってみれば、ゲームも好きでしたし、学生時代はいつもビデオカメラを持ってみんなを撮影して回るようなキャラクターだったんですよ。編集も自分でやったりしてね。 「関西人」なので、面白いことを言ったり、人を笑わせることが大好きで、バンドも組んでいたり。テレビ局でもバラエティーや音楽の番組をやらせてもらったのもちょうどよかったんですよ。
――シンガポールで起業したのはどういう理由が? 先ほども話したのですが、起業する中で、web3を使い、暗号資産を発行することは決めていたんですね。でも日本は当時、規制が厳しくて。例えば暗号資産を発行した「発行体」(企業)は、その暗号資産が流通せずに自社で保有している場合、発行量に対して期末の含み益として課税される仕組みになっていたんですね。 特にスタートアップにとっては厳しい決まりで、いきなり初年度で倒産するということもあり得たんです。これは通称「渡辺創太さん問題」と呼ばれていて、Astarという暗号資産を発行した企業の創業者、渡辺創太さんがこの問題に直面し、シンガポールに事業拠点を移さざるを得なくなったことにちなんで名付けられました。 今はもう税制が改正されましたが、僕らが創業した当時はまだそういう状況だったので、起業する場所はシンガポールかスイスかという選択になり、スイスは日本から遠いのでシンガポールにした、という経緯です。