77%が入学定員割れの女子大学! 人気下落の5つの理由とそれでも女子大学を選ぶメリットは?
女子大学の経営が厳しい理由「総合大学」志向の高まり
女子大学は概して、小規模の大学が多いのが特徴です。少人数だからこそ学生と教員との距離が近く、一人ひとりの学生に目が届きやすいことがメリットのひとつですが、近年の大学受験生は規模の大きな大学を志望する傾向があります。 大規模な大学ほど多くの学部を擁していることが一般的で、多様な科目や専門性の高いコースを提供しています。また、研究資源が豊富な傾向があり、最先端の研究に触れる機会も多いのが特徴です。自分の興味やキャリア形成の目標に合わせて学びを深めることが可能で、学術的なキャリアを目指す学生にとっても魅力的な環境です。 このため、入学定員の多い大学ほど入学定員充足率が高い傾向にあります。さらに、文部科学省が2022年に収容定員充足率5割以下の学部があると新学部設置を認可しないと基準を改めたため、定員充足率の高い大学ほど新学部を増やして「総合大学」化しやすくなっているのが現状です。 そうした中、2023年度入試では、入学定員1,500人以上の私立大学は83大学ありましたが、私立女子大学はそのうちの4大学にとどまっています。
女子大学の経営が厳しい理由売り手市場の就職状況
「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査」(2023年3月卒業)では、男女とも就職内定率は97.3%で、前年より向上しました。2011年3月大学卒業者の女子内定率は90.9%(男子は91.1%)ですから、就職率は上昇基調です。少子化の影響はここでも大きく、就活生の人数よりも採用予定人数が多い状態(売り手市場)が今後も続くと見られています。 後述するように、女子大学の強みのひとつに「就職に強い」点があります。しかし現在の就活状況を見ると、就職面を考えて、あえて女子大学を選ぶ受験生は減少していくのではないかと個人的には推測しています。 ※文部科学省「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査」
女子大学で学ぶメリットとは?
前述したように、女子大学は概して小規模・少人数の大学が多く、学生と教員との距離が近いため、一人ひとりの学生に目が届きやすいことがメリットのひとつです。また、異性に気を遣わずに自分らしくいられることや、社会における女性の問題などを認識する機会が多いというメリットもあるでしょう。さらに、自分の目指す進路のロールモデルになるOGを発見しやすくもあるようです。 就職面のメリットも女子大学の強みのひとつです。女子大学に求人票を送る企業は女性を積極的に採用する意思があるということであり、就活におけるミスマッチが少ないのです。 「2023年有名企業400社実就職率ランキング」(大学通信調べ)のベスト100大学には、8つの私立女子大学がランクインしています(津田塾大、日本女子大、東京女子大、聖心女子大、神戸女学院大、フェリス女学院大、学習院女子大、昭和女子大)。新卒の就職活動をサポートするだけではなく、出産・育児等を経て再就職する際の支援を積極的に行う女子大学もあります(日本女子大、昭和女子大、女子栄養大、武庫川女子大など)。 ※大学通信「2023年有名企業400社実就職率ランキング」 学びたい学問が明確で、その学問を学べる環境があり、女子大学ならではメリットに共感する受験生にとっては、女子大学は大いに大学選びの選択肢となるでしょう。 本コラム前半で述べた5つの理由が影響して、有名女子大学においても一般選抜の入試難易度(偏差値※)が下降している学部があります(※偏差値は大学や、その研究・教育内容の価値を示すものではありません)。したがって、以前よりも合格しやすくなっている女子大学の学部が増えているといえます。第一志望として考える場合でも併願として考える場合でも、これは有利です。