バースデー前日にJ1初得点! 湘南の石井久継が浦和戦で流れを変えた同点弾を回想「絶対にチームを勝たせたいという気持ちで」
充実ぶりを明かしていた矢先のゴール
7月6日、湘南ベルマーレはJ1第22節で浦和レッズと敵地で対戦し、3-2で勝利した。 【動画】石井久継のJ1初ゴール! 湘南は32分に田中聡の得点で先制するも、61分と74分に浦和のチアゴ・サンタナにゴールを許して1-2に。終盤まで相手の守備をこじ開けられず、敵陣でのパスミスなど、プレーに焦りがにじみ出る場面も散見された。 試合の流れを変えたのは、68分からピッチに立った18歳の石井久継だった。90分、左サイドで福田翔生からの落としを受けると、急速にスピードアップしてボックス内に侵入。右方向に舵を切って相手DFをかわし、右足をシャープに振り抜き、自身のJ1初得点となる同点ゴールを挙げた。 石井の得点で希望の灯がともったチームは勢いを増し、90+2分にルキアンが逆転弾をマーク。最後は身体を張って1点差を守り切り、5月19日の第15節・アルビレックス新潟戦以来、約1か月半ぶりの白星を勝ち取った。 試合後、石井は自身のゴールをこう振り返った。 「自分が想定していたよりも早い時間での投入だったので、攻撃的に行きたいという監督のメッセージは受け取っていましたし、自分が絶対にチームを勝たせたいという気持ちで試合に入りました。自分の特長が出たゴールだったと思いますし、何度も練習してきた形なので、トレーニングの成果を試合で出せたのが嬉しいです」 7月7日は19歳の誕生日で、バースデー前日弾でもあった。また、同6日は「大好きだった」祖母の月命日でもあったという。様々な想いが込められたゴールに、湘南の77番は目頭を熱くする。 「自分の誕生日を自分で祝うこともできたし、おばあちゃんの月命日でもあり、家族も喜んでくれたと思う。自分は中学時代からお母さんと一緒に湘南で暮らしているので、亡くなるまでおばあちゃんには何もしてあげられなかったなという気持ちがあるんです。今日のゴールで“自分も頑張っているよ”というメッセージを届けられたんじゃないかなと。“おばあちゃん孝行”になっていたらいいなと思います」 石井は今季、4月3日の第7節・東京ヴェルディ戦でプロ入り後初出場(22~23年の2種登録時代は除く)。第8節・サンフレッチェ広島戦で好プレーを披露し、5月の上旬までコンスタントに出場機会を得たが、その後はベンチを外れることも多く、練習終了後にたったひとりで自主トレーニングに励みながら「焦りがある」と明かす時期を過ごした。 6月上旬、「良いきっかけになる」とU-19日本代表の一員としてモーリスレベロトーナメントに参加。全5試合に出場して1ゴールを挙げ、自信を持って湘南に帰ってきた。チームは結果が出ずに苦しむなか、ポジティブにサッカーと向き合っていた姿勢が印象深い。 第20節・川崎フロンターレ戦(1-1)後にも「今はサッカーが楽しいです」と充実ぶりを明かしていた矢先の浦和戦での得点。プロ入り後にぶち当たったひとつ目の壁を、ひとまずは超えたと言えそうだ。 浦和戦のゴールに続き、石井は現在18位のチームを救う活躍を見せられるか。「もっと湘南を引っ張っていけるような選手になりたい」と意気込む“ロス五輪世代”のアタッカーに注目したい。 取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)