城氏が「パラグアイ戦でアピールに成功した人とできなかった人」をチェック。異質存在感で“当確”鎌田と伸び悩む久保
吉田ー冨安の不動のレギュラー2人との実力差を埋めきれていない。板倉はボランチで起用されたが、本番では予期せぬ怪我もある。板倉ー伊藤のセンタ―バックコンビなど、6月の残り試合で、いろんな組み合わせを試しておく必要があるだろう。 また後半26分から出場した久保もアピールできなかった一人。彼の持つポテンシャルと期待値が高いがゆえの厳しい指摘となるが、伸び悩んでいる。 1人で局面を変えることができるのが久保の魅力だった。しかし、この日は、ボールを受けることはできるが、そこから何を起こしてくれるのか?というワクワク感が少なかった。 エリア内で自ら何度か仕掛けたが、プレッシャーのないパラグアイを相手に代表初ゴールどころか決定的なチャンスも作ることができなかった。周りの選手も使えず、2人、3人との連携が機能しない。久保の描くイメージがチームで共有されていないようにも見えた。コンディションの問題もあるのだろうが、壁にぶつかっている。リズムや局面を劇的に変えるためのアクセントとしての役割が久保には期待されていたはずだが、物足りなさを感じる。 後半から出場の前田も決定的なチャンスにゴールを決めることができず天を仰いだ。先制のワンチャンスを確実に決めた浅野とは対照的だった。FWは「点を取る」「取らない」という結果が評価の対象となる。大迫不在の今こそ絶好のアピールの機会。まだ3試合、挽回の機会は残されている。 さて4日後にはファン注目のブラジル戦だ。日本は、本番を想定したベストの布陣で挑むだろう。ネイマールは参加しているが、ブラジルのメンバーは1.5軍。それでも、この日、韓国に5-1で勝利するなど、個の能力の高さは世界トップレベルだ。 日本は組織力でゲームメイクする欧州の強豪国には対抗することができるが、ブラジルのような個の能力で来るチームには弱い傾向がある。 ブラジルの個に対して組織力でどこまで対応できるのか。1対2のディフェンスから、どこでボールを奪い、どう展開するかがテーマとなる。より意思統一の徹底が求められる。当然、歴史的な金星を期待するが、この試合は選手選考ではなく、どこまでブラジルを本気にさせられるかが問われる試合となる。 (文責・城彰二/元日本代表FW)