「僕らが本を積む理由」黒木許子さんが冬休みにしたいこと
TSNDK from TABF!
「ティー・エー・ビー・エフ」と略称を読むのと、「東京アートブックフェア」とみなまで言うのと、どちらがより楽なのか。そんな難問を頭の片隅に抱えながら、現代美術館で行われた「TABF」へ。 『The Good Life~』は、鮮やかな水色の布を張った装丁が人混みの中で光って見えた。立ち読みして、モリソンの写真に共感。なんの意図もない日常のモノがすごく奇妙に見えたり、たまたま現れた構図がかわいく見えたり。ふとした瞬間に趣を見出す姿勢というか。が、写真に添えられた文章を全く読んでいないので、モリソン自身は違うことを言っているかもしれない。英語を読む体力が溜まっていないため、いつか予定ゼロの休日が訪れるまで、積んでおく。 色合いに一目惚れして連れて帰ったのは『完璧な小さな恋人』。斜めに配されたタイトルとゴムバンドも素敵すぎやしないか…!飯沢さんのことは存じ上げなかったのだけれど、パラパラと見たときの文が良かった。とりあえず、まずはビニールから取り出してあげないと…! 最後の『トツカ スペクタクル 野生の郊外』は、友人のオカモトくんがその友人カミヤくんと一緒に作った本。「TABF」にブースを出しているのを知らず、全くの偶然で数年ぶりに再会した。私は大昔文化人類学を勉強していて、レヴィ=ストロースの名著『野生の思考』も大好きだったから、「野生の」と名付けられると弱い。戸塚の写真にオカモトくんが文を寄せているので、早く読んで感想を送らねば!
「ことば」テーマの本を買いがち
『エコラリアス 言語の忘却について』ダニエル・ヘラー=ローセン著、関口涼子訳 「丸善 丸の内本店」に行くと、インテリジェントな気持ちになって消費行動だけは激しくなる。私は昔からみすず書房のファン。やわらかな学術書が多く、題字のフォントを含め装丁もいつもおしゃれで惚れ惚れ。価格設定はやや高めだけれどそれも承諾!とさせる説得力がある。タイトルの「忘却」という語が強い。「子どもは言葉を覚えるときに、それ以前の赤ちゃん語を忘れる」。そうだよな、覚えるって忘れることでもあるよな…と、帯の時点で学びが深すぎて、なかなか本編を開くに至らない。あと、持ち歩くにはかさばる。数ヶ月以上積ん読タワーを支えている重鎮。