ヤニス・アデトクンボを擁するギリシャ代表が16年ぶりのオリンピックへ「僕たちは特別なことを成し遂げられる」
「ただ自分たちのバスケを信じ、すべてを出しきる」
オリンピック最終予選(OQT)は現地7月7日に4会場すべてで決勝が行われ、最後のオリンピック出場チームが決まった。ギリシャ大会では開催国ギリシャとクロアチアが対戦。クロアチアはイビチャ・ズバッツが19得点12リバウンド、ダリオ・シャリッチが14得点12リバウンドとチームの軸となるNBAプレーヤーが奮起したが、試合が進むにつれてギリシャの攻守の安定感が差を生み出した。 ヤニス・アデトクンボが23分の出場で23得点8リバウンドと堂々の働きを見せた一方で、エースに劣らぬ存在感を見せたのがベテラン司令塔のニック・カレイテスだった。34分のプレーで14得点11アシスト。アデトクンボ中心でありながらもチーム全体がリズムに乗るよう気を配り、アデトクンボの個人能力ではなくチーム力でクロアチアを上回った。 第3クォーターの序盤に4点差まで追い上げられるも、カレイテスの連続得点で突き放し、66-53で迎えた第4クォーターはアデトクンボのリムプロテクト能力を生かしてクロアチアの反撃を許さず、2桁のリードをキープしたまま80-69で勝利。オリンピック出場を決めてアリーナを埋めた1万8000人の地元ファンが大歓声を送る中、アデトクンボもチームメートとともに勝利を祝ったが、一人になると静かに涙を流した。 ギリシャ代表にとっては長い挑戦だった。アデトクンボが初めてオリンピックに挑戦したのは、NBA3年目のシーズンを終えた2016年のこと。リオ大会に向けた世界最終予選では21歳のアデトクンボと全盛期のカレイテスを擁しながら勝てず、2021年の東京オリンピックに向けた最終予選では、例年より遅いNBAのスケジュールによりアデトクンボが参加できず、カレイテス中心のチームで予選突破にあと一歩と迫ったが、決勝でチェコに敗れた。 アデトクンボは試合後の会見で「ホームで戦えるのは絶好の機会だし、それを生かすためにチームメートもコーチングスタッフも最大限に集中してきた」と話した。「ずっと夢見てきたことを、最高の仲間たちと一緒に成し遂げることができた。しかも僕らを愛し、支えてくれる人たちの前で。これ以上のシナリオは考えられない。この気持ちを胸に刻み、数週間後にはまたベストを尽くすつもりだ」 「オリンピックは僕自身が飢えていたし、チームも渇望していた機会だ。それぞれがいろんな問題を抱えていても、みんな自分の役割を理解しているし、素晴らしいコーチが僕らの心を燃え上がらせ、同時に最高の戦術を与えてくれる」とアデトクンボはチームへの自信を語る。 ギリシャの入るグループAはオーストラリア、カナダ、スペインと強豪揃いだが、それこそ彼らが求めていた挑戦だ。アデトクンボは言う。「オリンピックは最高のアスリート、最高のチームが集まって競い合う舞台だ。僕にとっては初出場で、失うものは何もない。ただ自分たちのバスケを信じ、すべてを出しきる。そうすれば僕たちは特別なことを成し遂げられると思っているよ」 OQTの他会場ではスペイン、ブラジル、プエルトリコが優勝し、オリンピック出場を決めている。