成熟し、悟りの境地の後に辿る運命……人類が滅亡する4つの理由を考える
パワーバランス激変期の世界
2つめは、戦争です。冷戦時代から言われてきたことですが、核戦争が生じると、人類は滅亡とまではいかなくても大幅に人口を減らす可能性があるでしょう。 冷戦時代は、アメリカとソ連が覇権争いをしていましたが、ご存知の通り、これからしばらくの間、世界の二強はアメリカと中国でしょう。ただし、GDPベースでは、2030年までに中国が世界第一位に、2050年までにインドが世界第二位になるというPwC(PricewaterhouseCoopers )の予測もあります。パワーバランスの激変です。 これは別に目新しいことではありません。数千年の人類史をみると、産業革命以来の数百年間以外は、いつも中国とインドがGDP1位を争っていました。ふたたびその時代に戻るだけ、ということもできます。 しかし、民主化された世界秩序を数百年間維持してきた先進諸国にとって、一党独裁の国や身分差別社会の残された国が国力1、2位を争う世界が好ましくないことは、容易に想像できると思います。今後のパワーバランスの変化に伴い、戦略的に中国やインドの民主化を目指す動きや、新たな冷戦構造のもとで軍備競争による緊張を高める方向の動きが活発化することが予想されます。新たな冷戦です。 いや、新たな冷戦ならいいのですが、戦争が勃発してしまったら。 核戦争は人の数を大幅に減らす結果をもたらすでしょう。 これからの、パワーバランス激変期の世界では、そうならないように、細心の注意を払うべきでしょう。
栄華の後に滅びてゆく
3つめは、シンギュラリティー。前回はシンギュラリティー後にもAIと人類は共存できると楽観論を書きましたが、SF的な悲観論によれば、人間よりも賢くなったAIが害のある人間を滅ぼすというシナリオもありえないとは言い切れないでしょう。 1~3の理由に関連して、図2を用いた説明を試みてみようと思います。図2をご覧ください。インフルエンザの流行(a)と、日本の人口予測(b)の比較です。インフルエンザと日本人を比べるとは不謹慎だ、というご意見もあるかもしませんが、どちらも日本に生きる生物。目くじらを立てず、単に生物間の比較だと捉えていただければ幸いです。