急速に普及した“生成AI”…アドビ株式会社CDOが語る“生成AI”の懸念に対する対応策とは?「一人ひとりがリテラシーを」
◆近年急速に普及する“生成AI”の懸念点
近年デジタル界隈では“生成AI”が注目されていますが、それについて西山さんは2つの懸念点を挙げます。1つ目は、ここ1~2年で生成AIが急速に普及し、とても精巧な画像が作られるようになったことで“本物かどうかの真偽がつけられない”という評価が先行してしまった点。もう1つは「生成AIをトレーニングするために大量のデータを学習させる必要があるのですが、そのデータの取り方に懸念があります」と西山さん。 というのも、生成AIにインターネット上のあらゆるコンテンツを学習させることが可能で、それによって他者が権利を持っているコンテンツも学習できてしまいます。「例えば、有名な漫画家さんの絵を読みこむと(生成AIで)そっくりの画像ができてしまう。それって“著作権的に大丈夫だっけ?”というところが、世界的にもはっきり決まっていないところがあります。つまり、“見分けがつかない”という恐怖感に加えて、“このテクノロジーは本当に安心して使えるのか?”という懸念が大きく問われています」と危惧します。 この問題の対策として、「フェイクのコンテンツを見破るのは非常にコストがかかりますが、考え方を逆にして“正当なものを証明する方が早い”という考え方が徐々に広がってきています」と言及。また、絵画などに備わる“来歴情報”をデジタルコンテンツにも付与することが検討されていると言います。 さらにアドビは、有害なコンテンツに対処する団体「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」のメンバーとして、さまざまな普及活動に取り組んでいます。
◆アドビの“生成AI”その特徴は?
生成AIについては、アドビからもアプリケーション「Adobe Firefly(ファイヤーフライ)」が2023年夏にリリースされています。これは他の生成AI同様、写真や動画の作成が可能で、「安心してビジネスでお使いいただけることが最大の特徴です」と胸を張ります。 「Adobe Firefly」は権利関係がクリアになっているアドビのストックアーカイブをベースに情報を読み込ませており、権利問題のリスクが可能な限り排除されています。 「アドビでは、商用利用、クリエイターの皆さまが作るコンテンツがビジネスで使えることが何よりも大事と考えて設計しています。もし万が一のことが起こっても、アドビが補償するところまでセットで提供させていただいていますので、安心して使っていただければと思います」と西山さん。 さらに、(Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなど)既存のアプリケーションにも既に搭載されているとのことで、わざわざ新しいアプリを購入することなく自然な形で利用できるそうです。