海外レポート(2):異なる魅力を放つ、パリ国際大学都市にあるル・コルビュジエのスイスとブラジル学生会館
パリオリンピックの観戦でパリに行った際に、まず訪れたのがLe Corbusier(ル・コルビュジエ)のサヴォア邸(1931年)。パリ市内には、ほかにもル・コルビュジエの設計した建物がいくつかある。パリ国際大学都市というユニークな場所にも、ル・コルビュジエによる「スイス学生会館」「ブラジル学生会館」がある。どんな建物だろうか?
ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸の代わりに見学した、ル・コルビュジエの2つの学生会館
実は、世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」で、パリ市内にあるもう一つの作品「ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸」を見学する予定でいた。東京で確認していたら、オリンピックの開会式の日までなら予約ができたので、7月26日の午後2時に見学の予約を入れて、10€(2024年7月時点)の支払いもしていた。 ところが、「オリンピック・パラリンピックの期間は閉館するので、予約をキャンセルします」という連絡が来て、見学できなくなった。なんということだ! がっかりしていたのだが、それなら世界遺産にはなっていないが、ル・コルビュジエの設計した学生会館を見学しようと思い立った。それが、「スイス学生会館」と「ブラジル学生会館」だ。スイス学生会館は、ル・コルビュジエ最初の公共建築。そして、ル・コルビュジエのパリでの最後の作品となったのがブラジル学生会館だ。
東京ドーム7つ分の敷地に43館が立つパリ国際大学都市とは?
パリ市内にある、パリ国際大学都市(Cité Internationale Universitaire du Paris)は、1925年にフランスの文部大臣が提唱して創設された、パリ大学をはじめとする首都圏の高等教育機関や研究機関の学生や研究者に宿舎を提供し、文化・学術の交流を推進することを目的とした学術施設。都市と名づけられているが、34ヘクタール(東京ドーム7つ分超)という広大な敷地に、43の建物が点在する、学生街のようなものだ。 パリ国際大学都市は、シャルル・ド・ゴール空港と直結するRER(イル・ド・フランス地域圏急行鉄道網)B線の「大学都市」駅(Cité Universitaire)にある。借りていたアパルトマンがB線のサン ミシェル ノートルダム駅が最寄りだったので、思ったよりも近かった。 門を入ってすぐに見えるのが、図書館やレストラン、銀行などの施設があるパリ国際大学都市本部建物。これを囲むように、さまざまな国の学生・研究者の宿泊施設となる宿舎が立っている。ただし、自国出身の居住者を70%以下に抑えることが規則となっており、自然と国際交流が促されるようになっている。
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