女子マネの甲子園練習参加制止問題は時代錯誤か?
高校野球の甲子園練習で、大分の女子マネージャーがノックの手伝いをしていたところ、約15分後に大会関係者から制止され、グランドから“退場”させられた“事件”が大きな波紋を広げている。大会規則にのっとって各校に配布された「手引書」に、練習の補助員は男子部員に限られ、記録員(マネージャー)も、試合前の練習や試合中にグラウンドに出てはならないと定められているための処置だったが、SNSなどで著名人が次々と批判。今回の女子マネ問題だけに限らず、現状では安全性を考慮して禁じられている女子選手の公式戦参加の是非にまで議論が広がっている。 女子マネージャーが、甲子園大会での記録員としてベンチ入りが認められるようになったのは1996年。福岡の東筑高の三井由佳子さんがその第一号で、大会では9人の女子マネージャーがベンチ入りを果たした。実は、地方大会では、1993年の愛知県大会を皮切りに、いくつかの地域の高野連が女子マネージャーのベンチ入りを認めていて、本大会でも認められる流れを作った。 チームによって女子マネージャーの仕事や役割の種類は違うが、記録員としてスコアブックをつけるだけでなく、部員数の限られているチームなどでは、ヘルメットを着用の上、ノックでのボール渡しなどを手伝うことは少なくない。公立校などでは見慣れた風景で、実際、大分の女子マネージャーも普段の練習ではノックのサポートをしていたという。 だが、女子に限らず記録員(マネージャー)がグラウンドに立つことが禁じられているため、今回、大分は女子マネージャーに、ユニホームを着用さて記録員ではなく練習補助員として参加させたということだろう。 SNSでは多くの批判が寄せられて、議論がごっちゃになっているが、今回のケースに限って言えば、女子マネージャーがグラウンドに立つ、立たない、女子選手の大会参加を認めるべきか否かの議論ではなく「練習補助員は男子に限られる」の大会規定がおかしくないのかどうか、の議論だろう。 元プロ野球選手の高校野球監督転向、第1号でもある元瀬戸内高校野球部監督の後原富さんは、こんな意見を持つ。 「つまらん規則は改正すればいい。高野連の規定は時代にそぐわなくなっていることを理解すべきだ。ヘルメット着用を義務づければ、グラウンドで手伝いすることの危険は最低限回避されるし、普段から練習を手伝っているなら問題はない。女子マネージャーはベンチに入れるようになっているのだから、説得力のない理由で練習時のグラウンドにさえ立たせないのは、男女差別であり、時代錯誤。あまりに甲子園を神聖化しすぎている」