【「古い価値観のままの経営陣」は即退場すべき?】「悪しき“昭和の組織文化”」は“職場を殺す”あまりに深刻な大問題だ
多様性や包摂性の重要性が高まり、労働の流動性も高まる中、こうした組織カルチャーのままでは経営が立ちゆかなくなるのは明白である。 にもかかわらず、多くの日本企業は時代に合った「新たな組織カルチャー」へと転換しようとしてこなかった。 組織風土は目に見えない。目には見えないが、組織を覆う空気や雰囲気は必ず存在する。 風通しがよく、オープンで軽やかな空気の会社もあれば、閉鎖的で重苦しく、淀んだ空気の会社もある。
組織の空気が重く、上からの「圧」がきわめて強ければ、現場で深刻な問題が起きても、それを上に上げることができない。上に上げようとしても、真正面から向き合ってくれない。現場は問題を抱え込み、孤立する。 その結果、現場は不正や不祥事を起こしてしまう。そして、その根底には日本の産業構造に潜む「Master-Slave」の関係性が色濃く影を落としている。 実際、品質不正や不祥事を起こした企業に共通するのは、組織風土の問題である。
こうした企業が立ち上げた第三者委員会の報告書を読むと、必ずと言っていいほど「組織風土に問題がある」という結論になっている。 モノが言えない「風通しの悪い組織カルチャー」の企業が、現場を蝕み衰退させるのは明らかだ。そのような組織では、従業員の意欲を削ぎ、人が去っていくのは当然のことである。 組織カルチャーを抜本的に変えない限り、「新しい現場力」の創造は実現不可能なのだ。 ■「3つの要素」が強靭な組織を育てる
組織力は「組織風土」「組織文化」「組織能力」の3つの要素で成り立っている。これら3つの要素が積み重なり、強靱な組織はつくられている。 ★組織風土 会社や業界の違いに関係のない、共通的・普遍的な組織要件。心理的安全性が高く、自由にものが言える環境が整い、お互いに協力し合う関係性が担保されている。 ★組織文化 それぞれの会社の歴史や成功体験から生まれてくる独自の価値観や「らしさ」。これによって会社は個性的になり、独自のアイデンティティが確立される。