マクラーレン「GTS」はスーパーカーの姿をした「GTカー」…ゴルフバッグも積むことができる実用性も兼ね備えたマシンの乗り心地は?
素晴らしい乗り心地とコントロール性を発揮
ドライブを始めてまず気づいたのは、GTSの基本構造体たるカーボンモノコック、「MonoCell II-T」の比類なき剛性感だ。それがあるからこそ、連続可変の電子制御デュアルバルブ・ダンパーを持つプロアクティブ・ダンピング・コントロール・サスペンションにも高い剛性が得られて、GTSは素晴らしい乗り心地とコントロール性を発揮してくれるのである。高速道路に入り、車速が100km/hに達する頃になるとさらに印象深くなるしなやかな乗り心地と安定感。その先にはより魅力的な世界が存在していることは想像に難くない。 リアミッドに搭載されるM840T型エンジンは、それまでのGT用からさらに点火タイミングを見直すことで、高い燃焼圧力とトルクを生み出すことに成功している。4LのV型8気筒ツインターボという基本設計に変わりはないが、最高出力はGTから15ps向上して635psに、最大トルクも630Nmという数字を得るに至った。 このエンジンの特長は、実用域でのフレキシビリティ。アイドリングレベルから厚みのあるトルクを感じることと、車両重量1520kg(DIN空車重量値)という軽量さが相まって、ストリートでもほとんどストレスを感じることがない。そして郊外の道へと出てフル加速を試みれば、0-100km/h加速を3.2秒でこなす俊足ぶりを体験できるのだから、その二面性には試乗中に何度も驚かされた次第だ。
実用性も兼ね備えた1台
前後方向にかなり長いサイズを持つリアハッチは、電動式でオートマチックの開閉が可能。マクラーレンはここにゴルフバッグも積み込めると胸を張るが、たしかにキャビン後方のこのスペースの実用性は高い。実際のラゲッジ容量は420L。さらに前方のトランクルームには150L分のスペースが確保されているから、短期間の旅行といった程度の荷物ならば十分に積み込むことができる。 GT=グランド・ツアラーとして、きわめて魅力的なデザインと走り、さらには実用性を兼ね備えるマクラーレンGTS。最後に触れなければならないのは、やはりスーパースポーツとしての資質だろう。今回の試乗では「トラック」モードを試すチャンスにはほとんど恵まれなかったが、パワーユニットとシャシーの両方を「スポーツ」モードへと移行しただけでも、そのパフォーマンスには大いに感動させられた。 最大で100kgのダウンフォースが生み出されるという新デザインのボディは、高速域での安定性向上に大いに役立っているし、ステアリングの正確性やそれを切り込んでからの車体の動きも、さすがにマクラーレンのセッティングといった印象だった。参考までにGTSの前後重量配分は42.5:57.5。ブレーキングでしっかりとした荷重移動を行えば、じつに自然なミッドシップ車らしいコーナリングを楽しむことができるのだ。快適なGTとして、そして同時に世界最高水準のスーパースポーツとして、マクラーレンGTSはたしかに魅力的な存在だった。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)
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