あえて中学受験を回避するメリットとは? 親が知っておきたい「中高一貫校と高校の違い」
高まり続ける中学受験熱。しかしそれは本当に子どものためになるのでしょうか? あえて中学受験を回避し、高校受験を目ざすメリットはないのでしょうか? 【データ】偏差値70超の中学生の勉強時間 教育ジャーナリストとして、受験や教育の現場を20年以上にわたり取材し続けてきた中曽根陽子さんが、自身の著書『<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格』で中高一貫校と高校受験それぞれのメリットに触れた一節を紹介します。 ※本記事は中曽根陽子 著『<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社 刊)より一部抜粋・編集したものです
中高一貫教育のメリット
中高一貫教育では、中学と高校を接続し、6年間の学校生活の中で計画的・継続的な教育課程を展開します。 中高一貫教育のメリットとしてよくいわれているのは、 1 高校受験がない分、のびのびと過ごせる 2 特色あるカリキュラムで学ぶことができる 3 大学受験に有利 などですが、私は、中高一貫教育の最大のメリットは、子どもから大人になっていく変化の激しい時期に、継続的に教員から成長を見守ってもらえること。また、ゆとりを持ってそれぞれの発達段階に応じた特色ある教育を受けられることだと思います。 さまざまな経験を通して、じっくり時間をかけて自分に向き合いながら、将来について考えていくことができるのは、中高一貫教育ならではのメリットです。
高校受験と中学受験、どちらを選ぶべきなのか
最近、相談会などで「中学受験よりも、高校受験をしたほうがいいのでしょうか」と、質問されることがあります。判断の前提の話として、ここでは、中学受験と高校受験の違いについてお伝えしましょう。 そもそも、中学受験と高校受験では、受験のシステムが違います。 高校は義務教育ではないとはいえ、ほぼ全員が受験して進学するので、高校受験浪人を生み出さないための構造的な仕組みが出来上がっています。 「全滅しないようにする=収容」という考え方のもとに進路指導が行われるのです。つまり、行きたい学校を受けるというより、受かる学校を受けるというのが高校受験の世界のある意味、常識です。そのために偏差値の輪切りによって受験校を振り分けられる傾向があります。 その偏差値も、同じ学校でも高校のほうが中学より高くなるのは、母集団が大きくなるからです。よく、「中学受験でうまくいかなかったら、高校受験でリベンジさせる」という人がいますが、システムが違うので要注意です。 また、高校受験は当日のテストだけでなく、授業中の態度などが評価される内申点も重視されます。私学の推薦入試でも、学校が求める内申基準を満たしていることが、合格の可能性を高めます。さらに、女子校を中心に高校募集を停止する学校が増えていることから、より選択肢が多い中学受験を選択するという人も多いです。 こう書くと、中学受験のほうがいいのかと思われるかもしれませんが、もちろん高校受験のメリットもあります。高校受験を選ぶメリットは、次の4つだと私は考えています。