あえて中学受験を回避するメリットとは? 親が知っておきたい「中高一貫校と高校の違い」
高校受験のメリットとは?
1 教育費を抑えられる 高校授業料無償化の範囲が広がっているので、中学から私学に行くより、教育費の負担は少ないです。塾の費用も、中学受験塾より負担は少ない傾向があります。 2 それまでの環境をリセットできる 新しい環境で人脈も広がる中学受験を選ぶ理由として、同じような環境の人が集まるので安心という声がありますが、裏を返せば多様性に欠け、交友関係が固定化しやすいともいえます。高校受験に臨むことで、全く新しい環境に入れるのはメリットの一つでしょう。 3 小学生から受験のための塾通いをする必要がなく、子ども時代をのびのび過ごせる 中学受験対策塾では、夜の9時すぎまで授業があることも、少なくありません。子ども時代に遅くまで机に向かう必要がなく、ゆったりとした時間を過ごせるのは、高校受験を選ぶメリットだといえるでしょう。 4 本人の意思を最優先できる 本来、中学受験、高校受験ともに、親が全てをコントロールするのではなく、上手にサポートする必要がありますが、高校受験のほうが、より子どもの意思を優先できます。
忘れてはいけない「中学受験のリスク」
いかがでしょうか。中学受験、高校受験のメリットをお伝えしましたが、最終的な「これが正解」は正直ありません。子どもにどちらが合っているかを見極め、子どもがどうしたいかを聞いたうえで、それぞれの家庭で判断するしかないと思います。 ただ、中学受験を選ぶということは、10~12歳で目標に向けて挑戦することになるので、精神年齢の高いお子さん、ある程度の学習習慣が身についているお子さんのほうが取り組みやすいでしょう。反対にまだ精神的に幼くて、勉強に向き合う姿勢が育っていない子は、高校受験を選んだほうがいいかもしれません。 しかし、中にはそういうお子さんだからこそ、サポートがきめ細かい印象のある中高一貫教育を選びたいという人もいるでしょう。そういう場合はなおのこと、世間の価値観に流されず、お子さんに合う塾や学校を選ぶ必要があります。 中学受験をするかしないかを考える前に、受験した先にある中高一貫教育で何が得られるのか、そこで子どもに何を経験してほしいのかを考えてみてください。 わが家の軸をしっかりと持って選べば、どんな選択をしても後悔することはありません。 私の周りでも、受験が原因で親子関係が壊れたり、子どもの心が折れたり、せっかく入学した学校に子どもが通えなくなったりした事例がたくさんあります。心が折れてしまったお子さんの多くが、長い間夜更かしの生活を続けていたり、親の期待を一心に背負って競争にさらされてきたりしているのです。 中学受験に臨むときは、一歩間違えるとそうなるリスクがあることを理解してください。
中曽根陽子(教育ジャーナリスト)