BTCは9万8000ドル割れ、CoinDesk 20は10%急落──FRBの利下げ予想後退の影響続く
暗号資産価格は19日も下落。パウエルFRB議長が来年の米利下げ見通しについて投資家を失望させる発言をしたことで引き起こされた18日の市場全体の急落に拍車をかけた。 10万ドル超えまで回復しようとしたビットコインの勢いは急速に衰え、米国時間19日の日中に9万7000ドル台前半まで下落した。直近では9万8000ドル付近まで小幅に回復したが、それでも過去24時間で4.8%下落している。 アルトコインはさらに悪いパフォーマンスを見せ、広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexは同じ期間に10%以上下落した。 イーサリアム(ETH)は10.8%下落し3500ドルを割り込み、カルダノ(ADA)、チェーンリンク(LINK)、アプトス(APT)、アバランチ(AVAX)、ドージコイン(DOGE)は軒並み、15~20%の値下がりとなった。 特筆すべきは、ソラナ(SOL)が11月7日以来の安値に沈んだことで、史上最高値を記録してからひと月も経たずに26%急落し、米大統領選挙後の上昇をほぼ帳消しにした。 CoinGlassのデータによると、過去24時間、つまり18日のFRB政策決定以降、全体で約12億ドル(約1884億円、1ドル=157円換算)相当のレバレッジをかけた暗号資産デリバティブ取引ポジションが清算された。そのうち10億ドル以上がロングポジション、つまり価格が上昇する方に賭けた投資であった。 伝統的な市場では、米株価指数は18日の安値からわずかに反発したものの、市場前取引での上昇分の一部をセッション中に失った。S&P500種株価指数とハイテク株比率の高いナスダックは、18日の終値から0.5%上昇した。 暗号資産価格は、11月初旬のドナルド・トランプ氏の大統領選勝利以来、次期政権による暗号資産推進政策への期待から大幅に上昇した。18日のFRBによる来年の利下げペースの鈍化予想と、インフレ見込みの高まりに対するパウエル議長のタカ派的な論調は、多くの投資家を失望させ、暗号資産、株式、そして金までもが幅広く売られるきっかけとなった。 外国通貨バスケットに対する重要な強さの指標である米ドル指数(DXY)は108を超え、2022年11月以来の高水準となった。一方、10年物米国債利回りも4.6%超えと急速に上昇し、5月以来の高水準となった。 「暗号資産市場は、ビットコイン価格が10万ドルを突破した記録的な上昇を受け、すでに調整の可能性を巡ってそわそわしていた」と、金融テック企業LMAXグループ(LMAX Group)のマーケット・ストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は指摘。 「調整のきっかけが、伝統的な市場の世界からやって来たのだ…水曜日のFRBの決定による影響は、無視できないものだった」と続けた。 レイヤー2ネットワーク、モーフの共同設立者兼COOであるアジーム・カーン氏は、「視野を広げて、前年比の成長を考慮すると、このようなプルバックは健全に感じられる」と述べ、次のように続けた。 「歴史的に見ると、投資家が税負担の軽減を狙って利益と損失を相殺するため、年末に株式の売却が発生する可能性があることも注目に値する。これがどれほど現在のトレンドの原動力になっているか特定するのは難しいが、一因である可能性はある」 |翻訳・編集:山口晶子|画像:12月19日のビットコイン価格(CoinDesk)|原文:Bitcoin Dips Below $98K While CoinDesk 20 Plunges 10% Amid Fed-Spurred Rout; SOL Surrenders Post-Election Rally
CoinDesk Japan 編集部