駅遠の郊外団地を「駅マエ化」!? 移動サービス付きの新しい団地暮らしの実証実験、家賃高騰のなか注目あつまる 兵庫・神戸市
2024年7月から兵庫県神戸市とJR西日本が連携して取り組んでいる「団地まるごと駅マエ化プロジェクト」。これは郊外団地の「駅からちょっと遠い」問題を、住宅と移動手段をセットにしたプランで解決を図る実証実験。具体的には、神戸市が指定する住宅に入居すれば、JR西日本の通勤定期券と電動マイクロモビリティのシェアサービスの利用クーポン券が手に入る仕組み。駅~住まいの距離が縮まることで、郊外団地の暮らし方に変化が生まれそうな気配だ。
団地の空き家を抑制するきっかけづくりに
実証実験の舞台となるのは、神戸市の都心から西へ約15kmに位置し、神戸市垂水区と明石市にまたがる明舞(めいまい)団地。なだらかな丘陵地に集合住宅が立ち並び、その規模は南北約3km、東西約1kmにも及ぶ。多くの人が最寄駅のJR朝霧駅からバスを利用するものの、住む場所によっては、徒歩の場合、アップダウンのある道のりを20分以上歩く必要がある。
入居が開始されたのは1964(昭和39)年。世は高度成長期で、全国各地において大規模団地の開発ラッシュが起こった時期と重なる。国勢調査によると、ピーク時の1975(昭和50)年には同団地の人口は3万人以上を誇ったものの、高齢化や生活様式の変化により、2015(平成27)年には約2万人余に減少。現在社会問題として議論されつつある、団地の高齢化と空き家の増加は明舞団地も例外ではない。 今回のプロジェクトはその問題解決の糸口として期待されている。事の始まりは2023年、神戸市建築住宅局政策課とJR西日本との情報交換を兼ねた打ち合わせの席。駅からちょっと遠い郊外団地の活性化を目指す神戸市と、JR沿線の魅力発信を狙うJR西日本の両者の思いが一致し、話はトントン拍子で進んだ。そこに“街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる”をミッションに掲げる、電動マイクロモビリティのシェアサービス(LUUP(ループ))を提供している株式会社Luupも加わり、三者によるプロジェクトが動き出した。
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