駅遠の郊外団地を「駅マエ化」!? 移動サービス付きの新しい団地暮らしの実証実験、家賃高騰のなか注目あつまる 兵庫・神戸市
「この団地で生まれ育ち、今も活動している身としては、ぜひ盛り上がってほしい」と語るのは株式会社フロッグハウスの清水大介(しみず・だいすけ)さん。古くなった団地の一室を買い取り、数多くのリノベーションを手掛けている。取材も明舞団地の一室で現在進行中の施工現場で行った。 「分譲の場合、築年数が経ってしまった団地は、間取りの古さやエレベーターがないことから非常に安く売り出されます。しかし外部の修繕や共用部の窓やドアの交換等の管理が行き届いているものもあり、断熱工事や内部の配管の更新、さらに間取りを若者向けにするなどすれば、コスパよく住むことができます」。団地をハード面から見てきた清水さんだけに、住居としての団地の魅力を独自の視点で語る。ハード面での団地の魅力は賃貸でも同じことが言えるだろう。 「『団地』と聞いただけで、選択肢から外す若い人も多いですが、住居としてしっかり評価してもらいたいですね。それに明舞団地は計画的に開発されているから、学校や医療機関も揃っている。しかも海に近く自然もある。まだまだポテンシャルを秘めた街ですよ」と故郷の明舞団地について太鼓判を押す。 高齢化や空き家の増加と「ちょっと遠い」という移動の問題が絡み合い、一筋縄ではなかなか解決できそうにない郊外団地の現状。その解決へと導くひとつのヒントとなり得るのが今回の「団地まるごと駅マエ化プロジェクト」だろう。若い世代にとっては、神戸の中心地へもほど近く、風光明媚で快適な住環境を手にする絶好の機会といえる。機会があれば参加者の声も拾い上げてみたい。 ちなみにこの取り組みは、何かを新たに建設するまちづくりではなく、今すぐできるシンプルなアイディアを加え解決していく考え方や他業者を巻き込んだフットワークが評価され、2024度年のグッドデザイン賞を受賞した。これを受け、今後他のエリアでも同じような取り組みが広がっていく契機になるかもしれない。 ●取材協力 神戸市「団地まるごと駅マエ化プロジェクト」
藤川 満
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