作者不明の肖像画はレンブラントの作品だった!? 真相は謎に包まれたままイギリス人コレクターが2億円で落札
レンブラント・ファン・レインの作風で描かれた無署名の肖像画が、トマストン・プレイス・オークション・ギャラリーでおよそ150万ドル(約2億1570万円)でこのほど落札された。この金額は、最低予想落札価格の1万ドル(約144万円)の100倍を上回る金額だ。 厳かな黒い服に身を包んだ10代の少女が描かれたこの肖像画。本作はレンブラントのスタイルを模倣して作られたとカタログには記されており、レンブラントがアムステルダムに進出し、ヘンドリック・ファン・アイレンブルフの工房で肖像画を中心とした仕事をこなしていた1630年代前半に制作されたものだArtnetは報じている。 しかし、肖像画の裏には、この絵がレンブラントが手がけた可能性があることを示すラベルが貼られていた。《Portrait of a Girl》と題されたこの作品は、カーティス出版社の子孫であるケーリー・ボックによってフィラデルフィア美術館に過去に貸し出され、本作はレンブラントが手がけた作品であると記されていた。しかし、フィラデルフィア美術館は、このラベルは鑑定とは一致しないと否定し、本作が展示された展覧会を特定することができなかったという。 《Portrait of a Girl》は、トマストン・プレイス・ギャラリーの創設者でありオークショニアでもあるカーヤ・ヴェイユが、定期的に訪れているメイン州カムデンにある個人邸の屋根裏部屋で発見された。オンライン上でオークションを開催するライブ・オークショニアーズによれば、3万2500ドル(約467万円)で始まった入札価格は急速に上昇したという。本作の信憑性に疑問が残っていたものの、最終的には匿名のイギリス人コレクターに渡っている。 2023年には、これまで知られていなかった2点のレンブラントの肖像画が個人コレクションから発見され、クリスティーズ・ロンドンで1400万ドル(現在の為替で約20億円)で落札された。この2点の作品が、個人で所有されている最後のレンブラント作品だと当時は考えられていた。 クリスティーズは現在、オークションで落札されたレンブラントの最高額と2番目の額の記録を保持しており、2009年12月には《Portrait of a man with arms akimbo》(1658年)が2020万ポンド(現在の為替で38億2000万円)で、《Portrait of a lady in black costume and a cap and collar》(1632年)は2000年に1980万ポンド(同約37億4500万円)で落札されている。(翻訳:編集部)
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