【京都大賞典回顧】晩成型シュヴァリエローズが波乱の一戦制す まだ消えてはいない「京都外回りはディープインパクト」
波乱の京都大賞典
上位人気3頭がそろって沈み、3連単は141万馬券と大荒れ。ひと昔前の京都大賞典をイメージする世代にとっても予想が難しかった。宝塚記念を勝ったブローザホーンを除けば、GⅠ実績は古豪ディープボンドぐらいとメンバーが手薄。直行ローテが当たり前になり、GⅠ馬がGⅡに出走しなくなったことも波乱の遠因だろう。 【毎日王冠2024 推奨馬】能力は断然No.1!複数の好データ持ちで圧勝だ SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 唯一のGⅠ馬で1番人気のブローザホーンはまさかの最下位。最近はズブいというか、進んでいかないようなところがあるそうで、序盤から行きっぷりが悪く、懸念した部分がモロに出てしまった。ケガなどはないそうで、ひと安心だが、こういった見えづらい敗因は馬券を買う側としても付き合いにくい。戦歴も血統も応援したくなる物語がある一頭だが、馬券の取り扱いはまた一段と難しくなった。 どの馬にもチャンスあり。そういった状況はレース展開にも影響した。ケイアイサンデラとバビットが競り合う形になり、序盤600mは34.4と速かった。これはメイショウベルーガが勝った2010年の34.1、メジロマックイーンの最後のレースである1993年34.3に次ぐ、3番目に速い記録だ。 その後もケイアイサンデラは勢いを落とさず、12秒台前半を刻み続け、1000m通過は58.7。その後、12.8と息を入れると、後続が押し寄せた。京都の下りを得意とするディープボンドが動き、後半800mは11.9-11.5-11.7-11.8と持続力勝負に。先行勢は踏ん張れず、実績馬ディープボンドだけが残った。
シュヴァリエローズに流れる晩成の血
バラバラだった馬群の後方にいたシュヴァリエローズはディープボンドの動きを見ながら、絶妙なタイミングで仕掛け、とらえた。北村友一騎手らしい仕掛けの妙がGⅡ制覇に導いたといっていい。 かつてはホープフルS5着、若葉S2着と世代の上位戦線にいた。3歳春に結果を残すディープインパクト産駒らしい一面がある一方、条件戦から再出発後、じりじりとクラスをあげていくしぶとさもみせた。 母ヴィアンローズはローズノーブル、ローズミラクルなど5、6歳で勝ち星をあげる産駒もいて、決して早熟ではない。母系3代父カルドゥンは秋華賞を勝ったファビラスラフインの母の父であり、古馬になってタイトルを獲る馬が目立つ。ニジンスキー、カーリアンが流れるヴィアンローズにディープインパクトが加われば、じわじわ強くなるのも納得だ。 6歳シーズンは9、4、3、2、1着。これほど順調に着順をあげるのも簡単なようで難しい。厩舎がここまでうまく育ててきた成果だ。 ディープインパクト産駒は京都大賞典7勝目。2014年ラストインパクトから10年で7勝だからすごい。産駒も減り「京都外回りはディープインパクト」という格言も使えなくなりつつあるが、まだ格言は消えてはいない。 不思議なことに7勝すべて1番人気ではない。阪神で行われた京都大賞典を勝ったマカヒキは9番人気で、シュヴァリエローズも8番人気。ディープインパクトは決して本命党だけのものじゃない。穴党にだって心強い。歴史に残るスーパーサイアーはみんなのヒーローだった。