ただいま建て替え工事中 ── 名古屋の顔「大名古屋ビルヂング」はどんな風に変わるの?
設備部分更新か建て替えかで議論していた
「建て替えに至ったのは、老朽化が進んだため」。三菱地所名古屋支店プロジェクト推進室の出雲隆佑さんは言う。「とくに、ビル内部の空調や防災などの設備の老朽化が進み、社内でも、建物自体は残して設備部分だけを更新するか、あるいはすべて建て替えるかという議論を行っていました。JR東海さんや日本郵政さんの新ビル計画(JRゲートタワー・JPタワー名古屋)も耳にする中、高度化するオフィスニーズへの対応や防災面における安全性の向上を図ることが必要であると判断し、現状の計画へと至りました」 新ビルで大きく変貌を遂げる点は、まず商業施設の規模。地下1階から5階の「大名古屋ビルShops&Restaurant」に入る店舗は約70店舗を予定。その中のひとつとして、三越伊勢丹グループによるセレクトストアの入店も決まっている。三越伊勢丹グループは3フロア、床面積3000平方メートルにわたり、婦人・紳士のファッション、雑貨などが中心となる。 「三越伊勢丹グループさんとしては名古屋三越として栄と星ヶ丘に店舗がありますが、セレクトストア業態としては国内初出店となります。各フロアで三越伊勢丹と相乗効果のあるテナントミックスを目指したいですね」と出雲さん。
注目の新しいビルは「地域貢献」重視
ほかにも新しさや工夫が散りばめられている。地域貢献を重視したという新ビル。まずこだわったのが周辺エリアへの回遊性の強化。「旧ビルの場合は、大名古屋ビルヂングに入ったらそこがゴール、となってしまいがちでした。新ビルではメイン通りから建物北部への貫通通路を地上部に設置したのをはじめ、ビルを通って周辺エリアへ出やすいように工夫しています」 地下街への段差解消エレベーターを完備するなどバリアフリー化も実現。ダイナード地下街も生まれ変わり、より人がスムーズに流れるよう、店舗は片側のみに展開するスタイルに。 また放置自転車を減らすため、東海圏では初となる機械式地下駐輪場を採用。約950台の自転車を、自動で地下へと収めることができ、歩道や美観を守れる。「とくに注目していただきたいのが、5階の屋上庭園“スカイガーデン”。四季折々の木々を配し、カフェなどもオープンして開放する予定です」と出雲さん。 栄エリアに比べて名駅エリアには公園など憩いの場が少ない。都心で季節の自然を感じられる貴重な場になりそうだ。