大相撲九州場所11日目、大関の琴櫻と豊昇龍、平幕の隆の勝が1敗。新大関・大の里は4敗。ご当地力士の平戸海は宇良と3番相撲を取り、館内大声援
◆親方による解説 今場所は、先場所限りで現役を引退した3人の親方が登場し、実際に相撲を取っていた力士が土俵上にいるため、その情報が旬で面白かった。 7日目は湊川親方(元大関・貴景勝、28歳)が正面の解説者。幕内優勝4回。子どもの頃から横綱を目指し、怪我が治らす引退。「勝っても喜ばない、負けて涙がでるほど悔しくても、表に現わさないという昭和の力士を目指した」と語り、そういう力士を育てたいそうだ。 前頭5枚目・翔猿について、「さんざん苦しめられた。僕の好きな距離感が、翔猿が最も好きな距離感だった」、前頭3枚目・阿炎については、「突きには槍のような力がある。手がセンサーのようで、それで体が動く。阿炎の手のセンサーをいかにかいくぐるか…」など、その力士の強さを語っていた。湊川親方は、解説がものすごくうまかった。 9日目は振分親方(元関脇・妙義龍、38歳)が向正面で解説。71場所幕内をつとめ、技能賞を6回獲得。親方となり、場内警備で花道から土俵を眺め、「ライトで土俵は綺麗に見えて、力士はカッコいいなと思いました」、「心の強い力士を育てたい」などと話し、勝負師から親方になった時の気持ちの変化が伝わってきた。 10日目の向正面の解説者は岩友親方(元関脇・碧山、38歳)。ブルガリア出身で、日本語がわからないまま相撲教習所で勉強したそうだ。田子の浦部屋に入門したものの平成24年2月に師匠(元幕内・久島海)が亡くなり、春日野部屋へ。実況の大坂敏久アナウンサーが入門からのことを説明していると、「涙が出そうになった」と話し、亡くなった師匠のことを思い出したようだ。岩友親方は現役の時、テッポウを500~600回したため、春日野部屋の傾いたテッポウ柱の写真が映った。「稽古はキツイと思うよりも、強くなりたいと思っていた」そうだ。 この3親方の解説を聞いて、幕内にいる力士は、稽古の量、技の磨き方、勝負師としての姿勢が、ただものではないと思った。 その中で超ただものではないのが、11月16日の誕生日を白星で飾った40歳の玉鷲だ。昭和以降で40代の力士は6人目。以前に、弟子と工夫した稽古をしている姿をテレビで見たが、体の鍛え方も心の持ち方も立派なのだろう。 8日目は柔道家・羽賀龍之介選手がゲストとして、正面の放送席に登場。冬のモンゴルに武者修行に行き、モンゴル相撲を学んだことを話していた。そこに子どもだった霧島がいたそうで、「霧島は可愛い子。大きくなりましたね」と言っていた。元大関の関脇・霧島の初日からの5連敗を心配していた。