年金暮らしの両親、母は持病持ち。家のことができない父に介護サービスを受けるよう勧めましたが「お金がない」と。介護サービスは年金で払えないほど高額なのでしょうか?
Aさんの両親は年金暮らし。母には持病がありますが、今のところは2人で生活できています。しかし、父は家のことができないので、母の将来を見据え介護サービスを受けるよう勧めましたが、「お金がない。まだ自分たちでできる」と言います。介護サービスは、年金暮らしでは支払うことが難しいほど高額なのでしょうか? ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
要介護認定によって1割で利用できるサービスは多い
介護サービスを受けるには、介護保険利用が必須になります。介護保険を利用すると要介護度によって1割負担で受けられるサービスの種類が変わります。1割負担なので経済的に大きな負担になることはありません。 ただし、それには地元行政から「介護認定」という決定通知を受け取らなければならず、そのためには、かかりつけ医師から現状について述べた意見書と、市区町村の職員などからの訪問による聞き取り調査(認定調査)を受ける必要があります。 介護サービスを受ける親と介護の世話をしている介護者の間で、まず障害となるのが、このプロセスです。Aさんのように「大丈夫」と言う限り、聞き取り調査を拒否する可能性が高く、仮に来てもらっても「自分で何でもできる」と弱みを見せないことで、「介護サービスを受ける必要にまでは至らない」という結果になる場合があります。 どんな介護サービスをどのくらいの負担で受けられるか、ということ以前に、親を「支援を必要とする」という考え方にシフトしてもらうことが大きな課題になります。
「今の状況が体力的にピークである」ということを認識すべき
加齢とともに、これまでできていたことができなくなるということを認識してもらうことが、何より大事なことです。誰かの支援なしでは生活を維持していくことが難しいということを親に認めてもらうには、今私たちの周りで起こっている身近な一つひとつの出来事を見せて、自分たちに当てはめることでしょう。
親の介護・みとり・納骨まで一括して引き受けるサービスが好調
親世代には、かつての自分たちの親や祖父母の老後が記憶に定着していますので、「いざとなったら子どもたちが何とかしてくれるだろう」と思っていることでしょう。しかし現状は刻一刻と変化しています。 最近、「介護・みとり、納骨まで一貫した引き受けサービス」が好評であると話題になっています。驚くことに、このサービスに対するSNS等のコメントには肯定的なものが多数見受けられました。 例えば、子育てなど背負うものが多い現役世代から、「親の面倒をみるのは当たり前」という高圧的な姿勢で親の介護を続け、「介護うつ」という状況を引き起こしてしまった。介護・みとりのアウトソーシングは妥当なサービスだというものです。 年齢を重ねるにつれ、誰しも時代や環境の変化に伴う行動や価値観の変化を柔軟に受け入れるというよりも、自分の中で確率した価値観に固執するようになりがちです。一方で子ども世代は時代とともに変化していく価値観に同期化していきます。 世代間の「親との向き合い方」のギャップにより、子どもに介護やみとりを頼むことは期待できないと考えるべきでしょう。