年金暮らしの両親、母は持病持ち。家のことができない父に介護サービスを受けるよう勧めましたが「お金がない」と。介護サービスは年金で払えないほど高額なのでしょうか?
老々介護、認認介護の限界
子ども世代に頼ることができなくなった今の時代、誰かに介護を担ってもらうとするなら、連れ添った配偶者となります。しかし、配偶者は同世代。老々介護、認認介護となり、必ず訪れる限界。この事実を受け入れなければなりません。 厚生労働省による「介護の状況」では、同居の介護者が悩みやストレスを「ある」と回答した割合が68.9%と、非常に高くなっていることがうかがえます。これは介護者のストレスというメンタル面での問題よりも、物理的なリスクという点が反映しているとみるべきでしょう。
老々介護・認認介護の具体的な問題
最も顕著な問題点は介護疲れ・共倒れですが、そのほかにも不適切な介護や詐欺被害があげられます。 具体的には、適切な介護をする能力がないために、何日も入浴できない、汚物まみれの布団で寝た切りの状態になる、請求書がたまり支払いが滞るといった劣悪な環境で暮らさざるを得なくなることです。 誰しも、「自分はまだ関係ない」と思っていますし、好き好んでこのような状況に陥るのではなく、放置しておくと、このような状況に陥る可能性が訪れるということです。その時が「いつ来るのか」を予見することができない以上、「いつか必ず訪れる」という前提で先回りして対応しなければならないということです。
老々介護、認認介護による悲劇を防止するには、将来を見据えて早めに相談
不安が現実になってからでは、対応も大ごとになり、多くの人を巻き込むことになります。 そうなる前に市区町村の社会福祉部、医療機関や地域包括支援センターに相談することが必須ですが、「頼らなければ、周りが共倒れになることを認める」姿勢が前提になります。ところが実際には高齢になれば、外からの助言を受け入れられなくなります。「認めることは恥」ととらえがちですが、そうではないことをわかってもらわなければなりません。 介護者になるであろう身近な人から「自分が介護されるようになる時の備えとして準備したいので付き合ってほしい」という口実で、一緒に役所や社会福祉協議会が主宰しているワークショップに参加するのもいいかもしれません。 実は、将来介護を受けるようになるであろう親も「自分の弱さを認める時」を探っているのではないでしょうか。きっかけを作ることで、タイミングを提供してみるのもいいでしょう。 出典 厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況 執筆者:柴沼直美 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部