阪神・大竹、中日・梅野…現役ドラフトで選手は“本来の力”を取り戻す!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.48』】
剛球復活の兆しが見える梅野雄吾
2人目は23年の現役ドラフトでヤクルトから中日に移籍した梅野雄吾投手です。九産大九産時代では2年秋の時点で、150キロ近い速球を投げる投手として注目を浴びており、15年の11月に福岡までいきました。グラウンドが学校から離れた場所にあり、学校の最寄り駅は鹿児島本線の二日市駅でしたが、当時の平川 剛監督の車で、飯塚市にあるグラウンドまでいきました。 梅野投手は取材日でも投球練習を行い、豪快なストレートを投げ込んでおり、評判通りの好投手という印象を受けました。梅野投手は中学時代、内野手でしたが、平川監督によると梅野投手の代に投手があまりいなかったのもあり、センスの高い梅野投手は高校から投手を始める事になりました。体作りもするなかで、投げ方のコツを掴み、入学時は125キロでしたが、2年秋には149キロをマークするなど急成長を遂げました。平川監督は梅野投手について「彼は鼻っ柱の強い野球小僧で、意識も高い選手です」と評しました。取材すると投手らしい強気な性格をした投手だった印象がありました。 16年のドラフトでは3位指名。3年目に68試合登板しましたが、徐々に登板機会が少なくなり、23年はわずか5試合に終わりました。現役ドラフトで中日に移籍し、18試合登板と復活の兆しが見えました。140キロ後半の速球が出ていて、130キロ後半のスライダー、フォークも良い。来季以降の投球に期待がもてました。当時はまだ幼さがありましたが、今の写真を見ると、プロの投手らしい凛凛しい表情になってきました。中日のブルペン陣を救う活躍を見せてほしいと思います。 現役ドラフトはその選手の持ち味を復活させるチャンスだと思っています。大竹投手はソフトバンクで発揮できなかった技巧派的なピッチングが阪神に合っていました。そして梅野投手は剛球復活の兆しが見えました。 初代の現役ドラフトでは中日に移籍した細川 成也外野手(明秀日立)はようやくですが、待ち望んでいた長打力を開花させ、巨人に移籍したオコエ瑠偉外野手(関東一)はスピード感のあるプレーは関東一時代を思い出させるもので、自分が求められるプレーを実現できていると感じがあります。 今回、現役ドラフトに選ばれる選手は、現球団で持ち味を発揮しきれなかった実力者たち。新天地での活躍が楽しみです。