阪神・大竹、中日・梅野…現役ドラフトで選手は“本来の力”を取り戻す!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.48』】
皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です! 12月9日、第3回の現役ドラフトが行われます。現役ドラフトをきっかけにチームの主力となる選手も誕生したことから、かなり注目度が上がってきています。今回は現役ドラフトで移籍した選手のアマチュア時代の思い出を振り返っていければと思います。 【一覧】現役ドラフト移籍選手
技巧派左腕の投球を取り戻した大竹耕太郎
まずはソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎投手です。大竹投手の名前を聞いたのは済々黌時代です。2年生夏(2012年)の甲子園に出場した大竹投手は3回戦で大阪桐蔭と激突しました。森友哉捕手(オリックス)に本塁打を打たれましたが、長身から繰り出されるキレの良い速球に目を奪われました。まだ130キロ台でしたが、細身なので、体ができれば、楽しみな投手に映りました。翌年のセンバツでも130キロ台でしたが、好投を見せて、しっかりと評価を上げていきました。 再び投球を見たのは2015年の明治神宮大会。早稲田大に進学した大竹投手は2年生ながらエースへ成長しました。決勝戦の亜細亜大戦はロッテの藤岡裕大内野手(岡山理大付)など巧打者が多い打線でしたが、130キロ台の速球と90キロ台のカーブで翻弄します。大竹投手はどうやって130キロ台の速球を速く見せるのか、考えて投球をしていました。雨中の試合になった決勝戦は延長14回に及ぶ熱投の末、惜敗となりましたが、大竹投手の持ち味を発揮できたと思います。 一方で3年生以降の大竹投手はなにか持ち味を見失っている感じがしました。それでもソフトバンクから育成4位指名を受け、NPB入りを決めた大竹投手は1年目から一軍登板を果たし、3勝2敗の好成績を残し、19年には5勝しますが、そこから成績は下降していき、22年は2試合で防御率6.43に終わりました。当時27歳。このままならば、戦力外だったでしょう。 初の現役ドラフトで阪神に移籍。ここで持ち味を発揮した大竹投手は2年連続で二桁勝利をマークしました。大竹投手の投球を見るとストレートは常時130キロ後半と現代の先発投手としてはかなり遅い方です。それでも打者を抑えて二桁勝利を挙げる投球術は特筆すべきものがあります。技巧派左腕の超一流まで上り詰めました。