小笠原、菅野、青柳…メジャー球団スカウトは「日本人投手」をどう評価する? 甲子園での活躍が“不安材料”になるケースも
変則投法の青柳も
一方、「過去にやってきた日本人変則投手のデータが参考にならない」と米スカウトを悩ませているのが、阪神からポスティング・システムで挑戦する青柳だ。アンダースローともサイドスローともいえる変則投法の持ち主である。 同じような投法だった現ヤクルト監督の高津臣吾(56)、建山義紀(48=千葉ロッテコーチ)、牧田和久(40=ソフトバンクコーチ)が比較対象とされてきたが、彼らと青柳は全く異なることが判明した。低めの変化球を打たせて仕留める投法は同じでも、3人は「フライアウト・ピッチャー」、青柳は「ゴロアウト・ピッチャー」なのだ。 「メジャーリーガーにアッパースイングのバッターが多いせいもあります。高津たちはメジャーリーガーのパワーでホームランを浴びてしまうケースも少なくありませんでした。青柳も低い位置からボールが放たれるまでは同じですが、平均急速が86マイル(約140キロ)を超えています。明らかに過去3人の日本の変則投手よりもボールが速く、首を傾げているスカウトもいました」(前出・同) こうした現地の声を聞くと、青柳は米国で好成績を残すのではないかとも思えてくる。 阪神球団関係者によれば、21年東京五輪で炎上してしまったことで青柳にも米球界挑戦の意欲が芽生えたという。青柳は23、24年シーズンは二軍落ちしていた期間も長いため、映像資料が少ない。ファーム戦までチェックしている米スカウトはさすがにいないようだが、ヤクルト・村上宗隆(24)の視察絡みで青柳の登板を偶然見たという、前出のア・リーグ中部地区球団のスカウトはこう言う。 「バント気味の打球を捕球した際、彼の一塁送球は故意でのワンバウンドでした。守備、とくに送球に難がある投手のようですね」 青柳が一軍に定着したのは19年以降。制球難と守備難が課題とされていた。過去、米球界に挑戦した日本人投手は例外なく、守備も巧かった。甲子園大会における誤解もそうだが、日本人投手の獲得調査に時間を要するのは「活躍する可能性」が高いからだろう。 デイリー新潮編集部
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