上田誠仁コラム雲外蒼天/第47回「不測を楽しむくらいのメンタリティーを」
山梨学大の上田誠仁顧問による特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! ********************** 「1€=¥181.7」(7月12日羽田空港国際線ターミナルでの換金レート) 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第46回「教えて然るのちに困しむを知る~全日本の選考会シーズンを迎えて~」 2000年ならば、¥99.54であった。円安レートでの海外遠征は、日本円に換算するたび冷や汗が出る・・・・・・、と書き始めたことには訳がある。 関東学生陸上競技連盟の選手強化事業の一環として、イタリアのリグーリア州サヴォーナ県チェッレ・リーグレという地方の町で開催された「35°Meeting Arcobaleno EAP AtleticaEuropa」の800mに石元潤樹君(日大)と、北村魁士(山梨学大)を引率して参加してきたからだ。 石元君は初めての海外遠征。北村君は昨年末の日本陸連ジュニア中距離合宿で韓国遠征は経験しているものの、今回のような長時間移動・時差・ノンアテンドの海外遠征は初めてである。 フライトが夜0時05分発ということで、羽田空港国際線ターミナルの集合時間が22時。 本来ならアスリートにとって、ベッドで横になりたい時間だ。ここから日本との時差、マイナス7時間がスタートしたといえる。 顔合わせが終わると、まずは一般的な海外遠征での諸注意から始めた。 ・スリや置き引きなどに合わないための自己防衛を過去の渡航事例を話して注意喚起。 ・発熱・感染症など含めて海外で罹患した場合の諸注意と体調管理。 ・疾病とは言えないが、下痢や便秘などパフォーマンスに影響する体調の不備を自己管理するための方法。 ・時差の克服・順化の要点。などなど・・・・・・。 実は、私自身も海外渡航でさまざまなアクシデントやトラブル遭遇してきた。それについては1週間の生活の中で、ゆっくりと食事中のネタ話としてさせてもらった。 諸注意を終えると今回の遠征の目的を伝えた。当然のごとく大会に出場するので、そのレースで自己最高のパフォーマンスを発揮することに努めるのは当然。円安の経済状況のなか、貴重な強化費を使って海外遠征を経験させていただくのだから、まずはそのことを自覚しなければならない。 それともう一つ、私からのリクエストとして次のようなことを遠征での課題として提示させてもらった。 「君たちが将来、海外での転戦やトレーニングに一人で出かけられるようになるための布石として、今回の遠征を体験してほしい。自分でできることは見守るのでチャレンジしてほしい」とリクエストした。 旅慣れた方ならなんともないイミグレーションでの入国審査や、巨大な国際空港でのトランジットで航空便の乗り換えも、初めてとなるとかなり戸惑うものだ。 今回の遠征はホテルのバウチャーと航空券のみ手渡され、後はノンアテンドでの遠征。自力移動となる。ドバイ国際空港でのトランジットを経て、到着地はフランスのニース国際空港。空港では彼ら2人で電光掲示板や案内ボードで確認させつつ、戸惑いながら歩く彼らの後をついて歩くようにした。