「安いわけじゃないし、美味しくないメニューも普通にある」「良さは、子供を連れていけるだけ」…。ファミレスが「オワコン化」する裏で進む“大変化”とは?
これによって、店舗オペレーションの効率化を図り、これまでの価格を維持する。ミラノ風ドリアの税込300円という奇跡的な価格を今後も維持していく路線だ。 一方で、ロイヤルホストはガスト・サイゼリヤと逆に高価格帯路線を貫く。 中期事業計画では「高付加価値戦略」が目標とされ、高品質・高付加価値商品の提供を目指す。9月にはグランドメニューの4割を値上げし、中には600円以上の値上げ幅の商品もある。 こうした戦略が功を奏しているのか、グループ全体の売上高・営業利益は過去最高を更新し続けており、非常に好調である。まさに、高価格帯路線の代表的な店舗である。
■中価格帯ファミレスの苦境 こうした二極化の裏面で進行するのが「中価格帯ファミレスの苦境」だ。 例えば、ジョナサン。すかいらーくグループの店舗だが、ガストに比べると少し値段が高く、より高付加価値の中価格帯ファミレスという位置付けだ。 このジョナサンの閉店が止まらない。 10年間という期間で見ると、もっとも多かった303店舗(2015年12月期)から188店舗(2023年12月期)と、100店舗以上を閉めている。割合にして38%も少なくなっている。
同期間でのガストの閉店率が8%程度の減少にとどまっているのに比べ、はるかに大きい割合だ。 また、セブン&アイ・ホールディングス系列のデニーズもそうだ。 もともとデニーズはリーマン・ショック後の2009年とコロナ禍の2020年に店舗の大量閉店を行っており、現在では売上高は徐々に上昇してはいるものの、業界内での位置付けがパッとしない。 実際、ガストが提供するコース料理は、デニーズでも行われていたが、そちらの方はあまり話題に上がっていない。どこか印象が薄くなってしまっている。
そんなことを私が話していると、担当編集がこんな意見を言った。 「ファミリー層や子供連れが多いこともあって、私や私の周囲の友人は重宝しているのですが、単にそれだけだから行っている、というのも否めませんよね。安いわけじゃないし、美味しいメニューもあるけど、そうではないものも普通にある。正直、これというイメージがないんですよ」 確かに、「デニーズといえば、これ」というイメージはなく、消去法的に行く店になっているのかもしれない。