「安いわけじゃないし、美味しくないメニューも普通にある」「良さは、子供を連れていけるだけ」…。ファミレスが「オワコン化」する裏で進む“大変化”とは?
■ファミレスを支える単身世帯の格差も拡大傾向 また、ファミレスを支えてきた「ファミリー」が減少傾向にあり、単身世帯の利用が増加したことも二極化に拍車をかけた。 ファミレスが普及し始めた1970年代段階では、家族の誰かと世帯を構成する親族世帯が全体の約80%を占めていて、ファミリー層の需要はきわめて大きかった。しかし、それ以後、親族世帯の割合は減り、特に「夫婦と子から成る世帯」は、1985年をピークに減り続けている(国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」)。
必然的に単身世帯の利用が多くなっているのだが、注目すべきは単身世帯は、より貧富の格差が激しいことだ。 2023年の「家計の金融行動に関する世論調査」では、単身世帯が保有する金融資産の平均は941万円だが、その中央値は100万円である。つまり、一部の高所得単身層が巨額の金融資産を持っており、それ以外の単身世帯は金融資産をほとんど持っていない、二極化が進んでいる。 となれば、それに合わせてファミレスも変化せざるを得ない。大企業に勤めるちょっとリッチな独身貴族がランチでロイヤルホストに行く一方、Uberの配達に行く独身男性がガストでランチをする。もちろんどちらが上でどちらが下という話ではないのだが、現実として、そういった二極化が進んでいるのだ。
いずれにしても、ファミレスの二極化は、「一億総中流」の崩壊とイコールなのである。 ■「誰もが顧客」から「選ばれる顧客」の時代へ ついでに述べておくと、こうした二極化の進展は、裏返していえば、「お客様は神様です」という、日本人にどこか浸透した認識が終わりに向かっていることも表している。 人口減少によって、一見すると顧客の数は減っているように見えるが、それだけ各社は、より何度もそのお店に足を運んでくれる優良な顧客を選ぶようになる。