明日セパCS開幕。金本阪神は3年ぶりの“下克上”を果たせるのか?
プロ野球のセ、パ、クライマックスシリーズのファーストステージが明日14日から甲子園(阪神―横浜DeNA)、西武メットライフドーム(西武―楽天)で火蓋を切る。セの2位のポジションから3年ぶりの日本シリーズ進出を狙っているのが、金本監督が率いて2年目の阪神だ。 和田監督時代の2014年にも、同じく2位からファーストステージで広島を1勝1分で倒し、ファイナルステージでは、巨人を4連勝で破って日本シリーズ進出を果たしている。日本シリーズでは、ソフトバンクに1勝4敗で完敗したが、3年前の再現は可能なのか。 阪神はファーストステージで横浜DeNAを下し、次のファイナルステージで、レギュラーシーズンでは、10勝14敗1分と歯が立たなかった広島にリベンジを果たすことができるのか。 千葉ロッテで、プレーオフ時代の2005年と、CSの2010年と2度、“下克上日本一”を経験している評論家の里崎智也氏は、阪神突破の可能性を「先発投手の出来次第」と見る。 「CSを勝ち抜くためには、先発投手が、いかに頑張るかなんです。過去を見て打線の勢いで勝っているように見えるチームも、実は、先発、中継ぎの投手陣が踏ん張ってゲームを作っている中で得点しているにすぎません。僕らが下克上をやってのけた2005年、2010年のロッテも打線が爆発しましたが、ピッチャーが安定していたんです。中日、阪神が成功した例を見ても、先発ピッチャーが、序盤から崩れたのに乱打戦で勝ち抜けたという展開はありませんでした」 先発投手がゲームを作ることが第一条件だ。 「阪神は、桑原、マテオ、ドリスに、左の高橋、岩崎らを挟んだブルペン陣が非常に安定していますよね。そこが計算できるだけに、なおさら先発が重要になってきます。でも、現状の先発陣を見ると故障から間に合わせてきたメッセンジャーの次に名前が挙がるのは秋山くらいで枚数は足りていません。CSを勝ちきるためには、先発を5人揃えておかねばなりません。一方、横浜DeNは、今永、石田、濱口の若手の左3枚にウィーランド、井納と5枚が揃っています。9月下旬の甲子園で、阪神打線は、この今永、ウィーランドの2人に続けて抑えられています。それも不安要素かもしれません」 阪神がファーストステージに注ぎ込む予定の先発候補は、故障明けのメッセンジャー、覚醒した秋山、横浜DeNAに相性がいいベテラン、能見の3人だ。 メッセンジャーは、8月10日の巨人戦で打球を受けて右足くるぶし付近を骨折して戦線離脱していたが、急ピッチでリハビリを行い、10日の中日戦では4回を投げ1安打8奪三振と完全復活をアピール、CSに間に合わせてきた。 そのメッセンジャーが実質、中2.5日となる第1戦先発を志願したため、第2戦はプロ8年目で覚醒、12勝6敗でチームの勝ち頭となった秋山と予想されている。ただ、横浜DeNAに相性が悪い。今季4試合に投げて2勝1敗で防御率は5点台。7月6日に5失点、直近の9月27日にも立ち上がりでロペスに先制2ランを許すなど4失点している。 逆に能見は、横浜DeNA戦に3試合に先発して1勝0敗で防御率が2.14と相性は抜群。9月28日には、4安打2失点の完投勝利をマークしている。それらを考慮すると、ひょっとすると、登板順にサプライズがあるのかもしれない。セのCSでは予告先発が採用されていないため金本監督も直前まで煙幕を張るだろう。 一方、横浜DeNAも、ラミレス監督が「ここぞという試合でいい投球をしている」と、第1戦に井納の抜擢をほのめかすなど陽動作戦に出ている。井納は、今季阪神戦に1勝4敗、防御率4・19の成績だけに素直に受け取れず、9月24日の甲子園で6回3分の2を3安打無失点に抑えた今永と、その翌日に5安打完封してみせたウィーランドの2人が、1、2戦目に投入されるのが有力だろう。今永は、広い甲子園では、3戦3勝、防御率0.48と、“お得意様”にしている。もし第3戦目にもつれこんだ場合は、今季対阪神に3勝0敗、防御率3.03の成績で“阪神キラー”となったルーキーの濱口、9月29日の阪神戦で、6回を無失点に抑えた石田のどちらでも出陣が可能。里崎氏が指摘する先発の総力では横浜DeNAが上だろう。 では打線はどうか。