明日セパCS開幕。金本阪神は3年ぶりの“下克上”を果たせるのか?
阪神は、チーム打率・249、111本塁打、583得点、横浜DeNAは、打率・252、134本塁打、597得点で、データ上は横浜DeNAが上。しかし、両球団の対戦データに絞ると、阪神の対横浜DeNAのチーム打率は・251.20本塁打、110得点、横浜DeNAのそれは、打率・251と同じで、19本塁打、86得点は、やや劣っている。阪神が対横浜DeNAに今季14勝10敗1分と分がいいのは、このあたりから来ているのかもしれないが、実は、甲子園でのデータとなると逆転が起きる。阪神のチーム打率は・212と急落するのだ。対戦成績も甲子園では、6勝7敗とひとつ負け越していて地の利が生かせていない。 だが、里崎氏は短期決戦にシーズン中のデータは関係ないという。 「短期決戦にシーズン中のデータは、あまり通用しません。各自がどういう調子を維持して入ってくるのかが重要。阪神は、糸井、福留、鳥谷の3人のベテランは動かせないでしょうから、中谷、大山らの若手がカギですね。とにかく逆シリーズ男を作らないことです。そして調子が悪いと判断した選手は、すぐに外すことです。ベンチワークと選手層が、短期決戦の勝敗を分けるポイントになってくるでしょう」 阪神の予想される打順は、1番・俊介、2番・上本、3番・糸井、4番・福留で、5番には、新人の大山か、今季20本塁打をマークした中谷のどちらかが起用される模様だが、金本監督も「若手の勢い」に期待していて「4番・大山」説も流れている。若手の起用法と、その見極めのベンチワークがCSの行方を握っている。 一方、横浜DeNAは、シーズン最後に固めた1番・桑原、2番・梶谷、3番に打点王、ロペス、4番・筒香、5番に首位打者、宮崎が入り、9番に投手ではなく倉本を入れる打順で臨むと考えられている。 阪神はファーストステージで横浜DeNAを撃破しても、次の広島戦での先発陣が苦しい。 日ハム時代の昨年、広島との日本シリーズ第5戦で2番手としてロングリリーフを任されて5回と3分の2を1安打無失点に抑えたメンドーサ、後半に調子を戻した岩貞、岩田の両左腕が先発候補だが、故障明けのメッセンジャーを中4日で回していくことになるだろう。 だが、あいにくファーストステージは雨予報。天候次第で雨天中止があれば、メッセンジャーのファイナルステージの登板日も動き、いきなりCSローテーの再編を余儀なくされる。里崎氏が指摘する「下克上には先発5人が必要」という条件を完璧に満たすことはできないのかもしれない。 「巨人・菅野のような絶対的なピッチャーが1、2人いるチームなら別ですが、飛び抜けた能力を持ったピッチャーがいない場合は、レギュラーシーズンの上位チームが基本優位です。普通にやれば広島が勝ち抜けることになっています。でもシーズンの優勝チームには負けられないというプレッシャーがかかります。下克上を果たすには、“勝てばラッキー”というくらいの軽い気持ちでやることでしょう。僕らがそうでしたから」 “ミスター下克上”の里崎氏は、CSを勝ち抜く秘訣を実体験からこう語る。 そして「過去3度あった下克上は、すべてファーストステージを連勝、或いは勝利&引き分けで勝ち抜けています。3試合を戦った場合はファイナルステージで負けています。そう考えるとファーストステージを連勝で乗り越えることも最低条件になります」と言う。 パ・リーグ独自のプレーオフ時代を除くと、2007年にCSが導入されて以来、2位、3位チームが日本シリーズ進出を果たしたのは、セでは、2007年の2位からの中日、2014年の2位からの阪神、パでは2010年の3位からのロッテの3チームしかない。確率で言えば、わずか7.5パーセント。しかも、そのうち日本一にまで上り詰めたのは、中日とロッテの2チームだけである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)