W杯アジア最終予選初戦のメンバーに森保監督が選んだ東京五輪組は久保、堂安ら6人…この人選をどう評価すべきか
その意味で今回招集された6人は、24歳以下の東京五輪世代のなかでも精鋭という位置づけになる。ならば、すでに確固たる居場所を築き上げている冨安を除いた5人は、A代表にどのような効果を、既存の選手たちにどのような刺激を与えるのか。 U-24代表の攻撃をけん引した堂安と久保にとっては、出場すれば前者は昨年10月、後者は同11月以来のA代表戦のキャップを獲得する。ミャンマー代表に10-0で勝利した5月のアジア2次予選で堂安はベンチ外、久保はリザーブだった。 東京五輪では堂安が右サイドハーフ、久保がトップ下を主戦場としながら以心伝心のコンビネーションを駆使。ポジションチェンジを繰り返しながら対戦相手の脅威になり、グループリーグの3試合で久保は3ゴール、堂安は1ゴールをあげた。 しかし、準々決勝以降の3試合ではともに不発。U-24メキシコ代表との3位決定戦で敗れた後に号泣した久保は「次のチャンスがあれば、今度こそ勝利に貢献したい」と捲土重来を期し、堂安も「負けていい試合はないけど、この試合が自分のサッカーキャリアの分岐点になったと言われるようにしていきたい」と必死に前を向いた。 舞台をA代表に変えて、新たな一歩を踏み出すチャンスを得た形だが、森保ジャパンのなかで序列が生まれて久しい。トップ下は鎌田大地(25・フランクフルト)が、右サイドハーフでは伊東純也(28・ヘンク)が指揮官のファーストチョイスになった。 ただ、A代表の出場歴がまだ13試合の鎌田自身は、東京五輪世代がU-24代表に専念した6月の活動期間中に、自身の立ち位置を含めてこんな言葉を残していた。 「オリンピック組が抜けると、僕が一番年下の世代になる。年齢的には中堅ですけど、周りを見渡した感じではまだ若手という感じはします」 森保監督のファーストチョイスになったとはいえ、まだまだ絶対的な存在ではないという危機感も常に持ち合わせているのだろう。縦への圧倒的なスピードを武器に右タッチライン際を制圧し、クロスからチャンスメーク役を担ってきた伊東も、ともに左利きでプレースタイルも異なる堂安と久保の存在には刺激されるはずだ。 さらに左サイドハーフを担う南野拓実(26・リバプール)は、すでに2試合を終えている今シーズンの英プレミアリーグでまだピッチに立っていない。期限付き移籍していたサウサンプトンから復帰した状況で、再び苦しい立場に置かれている。 左サイドは原口元気(30・ウニオン・ベルリン)だけでなく、今夏に移籍したセルティックで7戦6ゴールと大ブレーク中の26歳、FW古橋亨梧もプレーできる。年代別代表の戦いをすべて終え、満を持してA代表の戦いに再び挑む堂安と久保を加えて、ポジション争いが熾烈を極めればそれだけ攻撃陣のレベルが上がってくる。