10代で大麻を使うと「精神病」リスクが11倍増加、“安全説”を否定する研究結果
カナダのトロント大学らの研究グループは「大麻を使用している10代の若者は、使用していない10代の若者と比べて、精神疾患を発症するリスクが約11倍高いことが推定される」と発表しました。この内容について郷医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: カナダのトロント大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。 郷先生: 今回紹介する研究はカナダのトロント大学らの研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「Psychological Medicine」に掲載されています。 研究グループは、カナダ・オンタリオ州の研究開始時の年齢が12~24歳の1万1000人以上の青少年を、2009~2012年まで追跡調査を実施しました。その結果、大麻を使用しない場合と比較して、青年期の大麻使用は精神病性障害と有意に関連していたことがわかりました。具体的な数値で言うと、12~19歳で大麻を使用した人は、使用していない人と比べて11.2倍もリスクが高かったとのことです。また、精神病性障害で救急外来を受診したり入院したりした10代の若者のうち、約6人中5人に大麻の使用歴があったことも明らかになりました。こうした大麻と精神疾患との関連性の強さは、青年期に顕著に増加しましたが、若年成人期には有意な変化はなかったことも判明しています。 研究グループは「大麻を使用する10代の若者の大多数は精神病性障害を発症しないものの、今回のデータによれば精神病性障害と診断された10代の若者のほとんどは、大麻の使用歴がある可能性が高い」と指摘しています。また、今回得られた結果については「大麻の使用と精神病性障害のリスクとの間に年齢依存的ではあるが強い関連があるという新たな証拠を提供し、青年期は大麻を使用しやすい時期であるという神経発達理論と一致している。青年期の関連性の強さは以前の研究よりも顕著に大きく、恐らく近年の大麻の効力の上昇を反映している」とコメントしています。