中高年はなぜ「ミレニアル世代」を理解できないのか 進化を遂げ、今や社会の中核 「もはや別の生き物」とあきらめる前におさえておきたい背景
今、30代の人材がさまざまな場面で社会の中心的な役割を担い始めています。企業において、現場のリーダーの多くがまさにその年代である「ミレニアル世代(ミレニアルズ、Millennials)」です。 この名称は、2000年のミレニアム(千年紀)を迎えるころに成人や社会人になったことに由来しており、心理学の研究テーマとして米国で定義されました。 いつの時代でも若者たちは、その前の世代の大人たちから「自分たちには理解不能な存在だ」と言われてきました。 筆者の世代では新人類やバブル世代などと呼ばれ、そのあとに就職氷河期世代、団塊ジュニア世代など、時代と共に若者たちの呼び名は変わっていきました。ただ、それでもミレニアル世代以前は、価値観やライフスタイルに、世代間である程度の連続性があったのではないかと思います。 しかしミレニアル世代以降は、それまでの世代とは全く異なる価値観やセンスを持つ、いわば「別の生物」だと私は感じています。(インテグレート代表取締役CEO/藤田康人)
テクノロジーと共に成長
その大きな違いをもたらしたのは間違いなくインターネットの登場でしょう。1980年代前半から1990年代中盤ごろに生まれた「ミレニアル世代」はテクノロジーと共に成長し、「デジタルネイティブ」とも呼ばれ、Windows95の発売や、インターネットの普及が飛躍的に進んだ時代に育った最初の世代です。 小さなころからパソコンや携帯が身近な環境にあったことから、従来の世代に比べてITリテラシーが高く、10代のころからSNSにも親しんでいることから、国内外を問わずさまざまな社会的背景や考えを持つ人とコミュニケーションを取る機会も多い。一人ひとりの個性や多様性を受け入れたり、重視したりする傾向があるのも、この世代の特徴です。 ネットワーク技術の進化やソーシャルメディアの台頭と共に育ち、その下のZ世代にも大きな影響を与えたミレニアル世代は、価値観の変革を先導する存在としても知られ、独自の価値観やライフスタイルを持つ世代です。 Z世代は1990年代後半から2010年代初頭に生まれ、デジタルネイティブとして、生まれた時からインターネットが身近にあり、中高生の時期からスマートフォンに触れています。 ミレニアル世代とZ世代は、テクノロジーへの理解や価値観において共通点がある一方で、成長環境や社会的な意識において異なる特徴を持っています。 社会・環境問題への関心が高く、リアルタイムで情報を共有して瞬時に反応することも多い点は両世代に共通しますが、キャリアや仕事に対する考え方は少し異なっています。 ミレニアル世代は安定した職業やキャリアを重視する傾向が強く、社会的な変革や環境問題に対する意識が高い一方、Z世代は柔軟な働き方や自己表現を重視し、社会・環境問題に対しては、より具体的な行動を重視する傾向があると言われています。