“1000万円の生成AI”が無料で利用可能になったワケ。「ChatGPT」が画期的なポイントとは
Googleも驚愕、公開後わずか数ヶ月で2億人ユーザーを獲得!
ChatGPTも同様で、機能自体は研究者から見れば以前からある古い技術です。だからといって、「今更何を騒いでいるのだ」「世間は遅れているな」とはなりません。その技術を仕事やプライベートで、研究者ではなく一般の人でも気軽に使えるようになったことは、大きな変化を生みました。実際、私自身の仕事や生活のあり方にも大きな変革をもたらしました。 当時、GoogleはすでにBardを部分的に発表していましたし、研究者の間では、性能自体はChatGPTよりもBardのほうが優れているとも言われていました。しかし、技術を積極的に公開することはしていませんでした。そんななか、OpenAIがChatGPTを一般公開し、知名度を大きく獲得し、登録者数や利用者数を急速に増やしていったことで、生成AIのビジネスを一手に獲得することとなりました。公開後わずか数か月で2億人ものユーザーを獲得したのです。ChatGPTの登場は、Googleにとって寝耳に水の出来事だったでしょう。 Google側も慌てて数か月後にBardを一般公開しましたが、さすがにじっくりと準備する時間がなかったのか、アプリの解答精度はChatGPTに比べると雲泥の差。そして、社会的な普及度や認知度という点では、大きく水をあけられてしまったのです。
生成AIの普及がもたらす未来に期待
ChatGPTの登場は、既存技術を大衆に広く提供する新たな一歩となった。この技術革新は、スマホやPCで簡単に使える点が評価され、多くの人々の生活や仕事に大きな影響を与えた。 生成AIの普及により、その社会的価値は計り知れず、今後もさらなる発展が見込まれる。そんな技術の進化とその大衆化がもたらす未来に、私たちは期待を寄せてやまない。 【池谷裕二】 1970年 静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。 東京大学薬学部教授。 2002~2005年にコロンビア大学(米ニューヨーク)に留学をはさみ、2014年より現職。 専門分野は神経生理学で、脳の健康について探究している 。また、2018年よりERATO脳AI融合プロジェクトの代表を務め、AIチップの脳移植によって新たな知能の開拓を目指している。文部科学大臣表彰 若手科学者賞(2008年)、日本学術振興会賞(2013年)、日本学士院学術奨励賞(2013年)などを受賞。また、『夢を叶えるために脳はある』(講談社)で小林秀雄賞受賞(2024年)。
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