なぜ智弁学園は近畿大会決勝で”最強”大阪桐蔭を破りセンバツ切符を決定的にできたのか
中軸の破壊力が大阪桐蔭を凌駕した。 前川、山下、三垣のクリーンナップは左、右、左のジグザグ打線。 「前を打つ前川が打てなかったら僕がカバーしようと思っています。打線がつながったし、主軸がいいバッティングをしたと思います。僕自身は、この大会では調子が良かった。軸で回れるからボールがしっかり見えています」と山下は言う。 1年生から注目されている前川は、新チームから副キャプテンにもなった。 山下は、「1年生の時の前川は、のほほんとした感じでしたが、しっかりとしてきた。大会前の練習中に1カ所打撃で集中力を欠いたチームメートがいたんですが”このままじゃ、勝てない”と集合させていました」という。 信頼という名の糸で結ばれている。これがクリーンナップ爆発力の背景。 小坂監督は、「前川が打ってくれたのが大きかった。彼はホームランバッター。4、5番もチャンスでしっかり打ってくれた」と称えた。 さて焦点は、2年連続の出場を決定的にした来年3月のセンバツである。今年のセンバツは、新型コロナの感染拡大の影響で中止となったが、来年こそ17年ぶりの頂点を目指す。 キャプテンの山下がチームを代表して言う。 「記録に出ないミスもあった。そのあたりを修正すること。守備力、走力を強化していきたい」 今夏の中京大中京との甲子園交流試合で惜敗し、苦い経験をしたエースの西村王雅投手には、「夏は泣かせてしまったので、今度は勝たしてやりたい」と男気をみせ、バックアップを約束した。 だが、一方で敗れた大阪桐蔭の西谷監督も、「日本一を目指して巻き返します」とセンバツでのリベンジを誓う。球児たちのライバル物語が始まっている。来年こそは、平常開催のセンバツに願いを込めながらーー。