なぜ智弁学園は近畿大会決勝で”最強”大阪桐蔭を破りセンバツ切符を決定的にできたのか
6回に大阪桐蔭は、関戸康介投手(2年)を繰り出してきた。MAX154キロのプロ注目右腕だ。しかし、相手バッテリーの連続ミスから無死3塁とすると8番の安藤壮央捕手(2年)が犠飛を決めて追加点。7回には、こちらもプロ注目の大砲、前川右京外野手(2年)が、高校通算29号となる一発をライトスタンドに放り込んでダメを押した。 打ったのはインコースのストレート。 1年前の近畿大会で関戸に打ち取られていたボールである。 「大阪桐蔭に勝ったことがなかったので勝ちたい気持ちだけでした。今大会は力んで調子が良くなかったけれど、初心に返って振り抜きました。開かずに我慢して打てた」 ーー少し詰まったのでは? そう聞くと「いや、それが狙いなんです。打球に角度をつけようと思ってティー打撃の時から取り組んでいます。3、4番で勢いづけようと山下と話していたので、その通りになって良かった」と胸を張った。 9回には、4番の山下が2死三塁から技ありの右前タイムリーを放ち強豪大阪桐蔭の息の根を止めた。 昨年の天理に続き、2年連続で近畿大会で奈良勢に敗れ、準優勝に甘んじた大阪桐蔭の西谷監督も完敗を認めた。 「先制されて、その後も加点される展開。うちは攻撃で攻め切ることができなかった。3、4点は取られると思っていたので、5点を取らないと勝てないと思っていましたが、うちがしたかったようなバッティングを相手にされました」 エース松浦が打撃中に左肩を脱臼するアクシデントもあった。 なぜ智弁学園は、奈良大会の敗戦から、わずか1か月の間にチームを立て直し、打倒大阪桐蔭を果たすことができたのか。山下キャプテンが、その理由を明かした。 「新型コロナ禍でもメンバー外の選手が協力してくれ、ずっと効率のいい練習ができていたんです。それが土台にあって、それまでフリー打撃では3球打ちにしていましたが、天理に負けた後から1球打ちに変えたんです。集中力を持って1球で仕留められるようにと。天理戦ではチャンスにあと1本が出ませんでしたから。きょうは最初から最後まで攻め切れた。大阪桐蔭は、どの投手が出てきてもいい投手ばかりなので自分たちのスイングを心掛けました」 工夫した1球バッティングで集中力を磨いたという。