ヘビはなぜ怖いのか 認知科学者「ポイントはうろこ」 遠い祖先からの長~い関わり
巳年(へび年)の2025年が明けました。置物や年賀状にはかわいらしいヘビがたくさんありますが、本物のヘビは「絶対無理!」という人が多いはず。認知科学の専門家によると、そこには霊長類の長い歴史が関わっているそうです。 名古屋市内の百貨店には、ユニークな姿のヘビが並んでいます。 陶器やわらでできたヘビの置物や、卵のように丸々としたヘビのこけしも。 ヘビは七福神の一つ・弁財天の化身と言い伝えられ、五穀豊穣や金運上昇の縁起物として買い求めるお客さんもいるそうです。 ところが…実物のヘビとなると怖いのはなぜなのでしょうか。細くて長い体にくねくねした動き、鋭い牙と目、先が裂けた舌…。いろいろありそうです。 認知科学が専門の川合伸幸・名古屋大学大学院情報学研究科教授(58)によると、人間やサルなどの霊長類は、危険な動物や怒った顔などを本能的に素早く察知します。 特にヘビは、実物を見たことがないサルでもほかの動物より早く見分けるほか、生後6~11カ月の人間の赤ちゃんもヘビの写真に脳波が大きく反応することが報告されています。 ただ、ヘビのどこに反応するのかは、はっきりわかっていませんでした。
サルにヘビとイモリの写真を見せると…
川合教授は実験で、ヘビを見たことがない3頭のサルに、ヘビとイモリの写真を9枚見せ、1枚だけ違うものを見つけてもらいました。 9枚のうち1枚だけヘビにした時にヘビを発見したのは、9枚のうち1枚をイモリにした時にイモリを発見した時よりも早いという結果になりました。 両生類のイモリにうろこはありません。川合教授はイモリの写真を加工し、ヘビのうろこを重ねてサルに見せました。 すると、2頭のサルはヘビを見つけるのと同じ早さで見分け、もう1頭はヘビよりも早く見分けました。 ヘビの写真は前の実験と変えておらず、川合教授は「ヘビのうろこに敏感に反応している」と結論づけました。